業務中に亡くなったら年金はどうなる?

配信日: 2021.04.11

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業務中に亡くなったら年金はどうなる?
労働者の方が業務中に亡くなった場合、国は労災保険による一定の給付を用意しています。今回は業務が原因で亡くなってしまった場合に受けられる年金、遺族(補償)年金について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺族(補償)年金とは

遺族(補償)年金とは、労働者の方が業務中や通勤中の事故により亡くなり、労災認定がなされると、その方の収入によって生計を維持していた遺族(生計の一部を維持していた共稼ぎのような場合も含む)に対して支払われる給付です。
 

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遺族(補償)年金を受け取れる遺族の範囲は?

遺族(補償)年金における遺族として含まれる人は、亡くなった方と次のような関係にある方です。
 

(1)妻または60歳以上か一定の障害のある夫
(2)18歳に達する以後、最初の3月31日までの間にあるか、一定の障害状態にある子
(3)60歳以上または一定の障害状態の父母
(4)18歳に達する以後、最初の3月31日までの間にあるか、一定の障害状態にある孫
(5)60歳以上または一定の障害状態の祖父母
(6)18歳に達する以後、最初の3月31日までの間にあるか、60歳以上または一定の障害状態にある兄弟姉妹
(7)55歳以上60歳未満の夫
(8)55歳以上60歳未満の父母
(9)55歳以上60歳未満の祖父母
(10)55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

 
上記に該当する人のうち、優先順位の高い遺族(1から10のうち数字の早い遺族)に支給されます。
※一定の障害状態とは障害等級5等級以上の身体障害を指します。
※配偶者とは、婚姻届を出していない内縁関係も含みます。
※労働者の死亡当時、胎児であった子は生まれたときから受給資格者となります。
※最優先順位に当たる方が死亡したり、再婚して受給資格を失うと、次の順位の方に受給権が移ります。
※(7)から(10)に該当する方について、実際に支給が始まるのは60歳からとなります。
 
詳細については、亡くなった方が勤務されていた事業所を管轄する労働基準監督署へご相談ください。なお、遺族(補償)年金は労働者である方が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求権が消滅することにもご注意ください。
 

受給できる金額は?

給付額は労働基準法上の平均賃金に相当する額(給付基礎日額)を基準とし、遺族の数により支給額(最大で給付基礎日額の245日分)が決定されます。
 

遺族の数 支給額
1人 給付基礎日額の153日分(55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻は175日分)
2人 給付基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分

※厚生労働省 「遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続」より筆者作成
 

遺族(補償)年金の請求手続きは?

遺族(補償)年金の請求先は、労働者が働いていた事業所を管轄する労働基準監督署になります。申請には申請書への事業主の証明なども必要となるため、スムーズに手続きすることができるよう事業主と協力して準備を進めてください。
 

遺族年金との違いは?

遺族年金は、国民年金や厚生年金の加入者に支給される年金です。対して遺族(補償)年金は、労災保険から支払われるものになります。両者は支給事由などが異なるため、同時に受給することができますが、その場合は一定の調整が入ることがあります。詳細については労働基準監督署などへご相談ください。
 

労働者が業務中に亡くなった場合、遺族は遺族(補償)年金を受けられる可能性がある

遺族(補償)年金は、残された遺族が生活を維持するために用意された労災保険に基づく保障です。しかし、それを受給するには一定の要件を満たし、かつ期間内に手続きをしなければなりません。
 
遺族(補償)年金を申請する際は事業主と協力するほか、適宜、労働基準監督署と相談をして速やかに手続きするようにしてください。
 
出典 厚生労働省 遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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