厚生年金保険料を抑える方法は?
配信日: 2021.04.13
今回は厚生年金保険料が高いと感じる理由とともに、厚生年金保険料を低く抑えるための方法をお教えします。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の保険料はどれくらい?
厚生年金の保険料は、毎年4月から6月の給与を基に決定された標準報酬月額に保険料率(18.3%)をかけて算出されます。
例えば、毎月の給与が21万円であれば標準報酬月額は20万円となるため、毎月の厚生年金の保険料は3万6600円となります(令和2年9月分からの保険料)。ただ、厚生年金の保険料は事業主と労働者とで折半となるため、実際に毎月自身が支払う金額は保険料率を9.15%とした1万8300円となります。
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厚生年金の保険料はなぜ高い?
厚生年金の保険料は前述のとおり、毎月の給与が21万円の方で月額約1万8000円程度と高額になっています。厚生年金が高額となっている背景には大きく分けて社会保障の充実と少子高齢化があります。
保障が充実している
厚生年金は国民年金よりも保障の内容が充実しています。将来受給できる年金額はもちろんのこと、けがや病気の際に自身や家族が受け取れる障害年金や遺族年金の支給範囲が広くなっていたり、育児休業などを取得した際にはその間の保険料が不要となるなど、国民年金よりも手厚い保障となっているため必然的に保険料も高くなってしまうのです。
少子高齢化
日本は現在急速に少子高齢化が進んでいます。
具体的には、65歳以上の人口が占める割合は2020年でおよそ3618万人とされており、全体の29%を占めています。逆に20歳から64歳までのいわゆる現役世代の人口は6841万人で全体の55%を占めています。これは、いわば1.8人の現役世代の方で1人の高齢者を支えている状況です。
そういった背景もあり、少子高齢化によって膨れ上がる社会保障費を賄うためにも現役世代が負担する厚生年金の保険料が高額になってしまっているのです。
厚生年金を抑える方法は?
厚生年金を低く抑える方法としては次のような手段があります。
残業に気を付ける
厚生年金の保険料は4月から6月に支払われる給与を基に決定されます。そのため、4月から6月の間の給与がなるべく低くなるよう残業を調整することで、意図的に厚生年金の保険料を下げることができます。
なお、一度決定された厚生年金保険料はその年の9月から翌年8月までの1年間有効となるため、この時期にうまく調整することができれば大幅に保険料を削減することができます。
企業型確定拠出年金へ加入する
勤務先が企業型確定拠出年金を導入しているのであれば、それに加入し掛け金を拠出することで厚生年金の保険料削減に繋げることができます。
理由を簡単に説明すると、企業型確定拠出年金の掛金部分は給与として扱われず、そのまま確定拠出年金の掛け金として支払われるため、4月から6月の間だけでも標準報酬月額が低くなるよう掛け金を多めに拠出することで、保険料の負担を低く抑えることができるといった仕組みです。
厚生年金の保険料を抑えることのデメリット
厚生年金の保険料を意図的に下げてしまうと将来受け取る老齢厚生年金の金額や、障害厚生年金や遺族厚生年金の金額が低くなってしまう恐れがあります。
なぜなら、厚生年金は支払った保険料に比例して将来受け取る給付の額も高くなるからです。厚生年金の保険料を抑える際はその点を踏まえて決断する必要があります。
厚生年金の保険料は将来への備えです
厚生年金の保険料率は9.15%であり、充実した保障の実現や少子高齢化といった社会問題などから高い保険料率となっています。
しかし、厚生年金の保険料は将来への備えとなるものです。厚生年金の保険料を下げる場合は将来の給付が少なくなるリスクも考慮して実行するようにしてください。
出典
財務省 日本の財政を考える 日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか
財務省 2025年、高齢者1人を現役世代何人で支える?
執筆者:柘植輝
行政書士