更新日: 2021.04.23 国民年金
学生時代の国民年金保険料は早めに納めたほうが良い?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
後から保険料を納める追納制度
将来65歳からの老齢基礎年金については、20歳から60歳までの480月の納付期間で満額78万900円(2021年度の場合)ですが、学生時代に収入が少なく国民年金保険料の納付猶予を受けた期間があると、その分の年金額は0円で計算され、満額より少なくなります。
その納付猶予を受けた各月の国民年金保険料は、それぞれ10年以内に納めることができます(追納制度)。納付猶予期間の保険料を追納した場合は当然納付したものとして老齢基礎年金が計算されます。
例えば、猶予を受けた期間が33月で、これをすべて追納した場合、追納しない場合と比べると、年金額は5万3687円(78万900円×33月/480月で計算)多くなる計算となります。
その追納する保険料について、納付猶予を受けた月の翌年度から起算して2年度目までに納める場合は当時の保険料額で納めることができますが、そのさらに次の年度(3年度目)以降に納める場合は、当時の保険料額に加算がされた額で納めることになります。
【図表1】は2021年度に過去分を追納する場合の追納額ですが、2019年度・2020年度の保険料を追納する場合は、加算額がなく当時の保険料額で納付できるのに対し、2018年度以前の保険料には加算があります。10年の期限に近い、古い年度の分ほど加算額は多くなっていますので、言い換えると、早い時期に追納するほうが加算額も少なくなるでしょう。
(日本年金機構HP(※)をもとに筆者作成)
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いずれ50代になると年金のことが気になり始める
この10年以内の追納は行っておいたほうが良いのでしょうか。経済的に余裕がない場合は別として、追納できるのであれば早めに追納をしたほうが良いと考えられます。
筆者は年金の相談業務をこれまで行ってきていますが、50代で将来の年金について相談に来られる方も多く、50代を迎えると将来受け取れる年金や年金の増やし方について考え始めるようになるといえます。現在20~30代の人は将来の年金についてまだイメージができないかと思いますが、やがて50代になる頃には年金のことが気になり始めるでしょう。
もし、保険料を追納しないまま50代を迎え、50代で過去の学生時代の保険料を納めたいと思っても10年以上たったその時にはもう納めることはできません。
追納しなかった場合、その足りない分は60歳以降65歳まで(あるいは納付月数が合計480月に達するまで)に国民年金に任意加入して納付できますが(【図表2】)、逆にいうと、60歳以降にならないと足りない分を納めることができないため、それまでの間、足りない分のことが気になり続けることになるかもしれません。
また、保険料の額はだんだん高くなる傾向にありますが、実際に60代になった時の保険料額は、かつての学生時代の保険料額はもちろん、今の保険料額と比べても高くなっていることもあるでしょう。
追納保険料には節税効果もある
何歳まで生きるかわからない中、長生きする可能性もありますが、老齢基礎年金は一生涯受けられます。実際の受給額はその時にならないとわからないのは確かですが、すべて追納して早いうちに納付期間としておけば、いずれ後になってから足りない期間があることを気にすることもないでしょう。
追納した保険料は社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税の節税効果もあります。追納した場合は年末調整や確定申告で忘れずに申告を行うことが大切です。追納できる期間がある人は、以上を踏まえて、追納のことを考えてみてはいかがでしょうか。
(※)日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー