更新日: 2021.04.30 その他年金

年金を繰り上げ受給するなら、2022年4月以降の方が良い?

年金を繰り上げ受給するなら、2022年4月以降の方が良い?
年金は繰り上げ受給をすることで最短60歳まで受給年齢を前倒しすることができます。その際、年金の受給額はどう変化していくのでしょうか。
 
年金を60歳まで繰り上げ受給した場合の年金額について検証していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金は繰り上げ受給で60歳から受給可能

年金は原則65歳からの受給となっていますが、繰り上げ受給(早めること)をすることによって、最短で60歳から年金を受け取ることができるようになります。
 
しかし、繰り上げ受給をすると、その期間に応じて減額された年金を一生受け取り続けることになります。具体的には、1ヶ月繰り上げるごとに0.5%の減額になります。
 
例えば、60歳から年金を受け取りたいという場合、5年間で合計60ヶ月繰り上げることになるため、60×0.5%=30%減額された金額を受け取ることになります。
 
減額率は65歳に達した後も戻ることはないため、十分に考えた上で繰り上げ請求をすることが大切です。
 

具体的にどれくらいになる?

昭和16年4月2日以降に生まれた方が40年間国民年金のみを満額納め、60歳になってすぐ繰り上げ受給をしたと仮定すると、その方が受給できる国民年金の月額は次のようになります。

減額される割合=0.5%(減額率)×60(繰り上げた5年分の月数)=30%
受け取れる年金の月額=6万5075円(令和3年度の国民年金額)×(100%-30%)=4万5552.5円

 

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繰り上げ受給の注意点は?

繰り上げ受給を行う際には、減額されること以外にも次のような点に注意が必要です。

・繰り上げ後は国民年金に任意加入して保険料の追納をすることができなくなる
 
・繰り上げをすると、厚生年金の特別支給部分のうち国民年金に相当する額が支給停止される
 
・寡婦年金の受給ができなくなる
 
・事後重症(後になって症状が重くなった)などによる障害基礎年金の請求ができなくなる
 
・65歳になるまで遺族厚生年金、遺族共済年金を受給できない

 

年金の繰り上げをするかの判断はどうする?

基本的に年金の繰り上げ受給はおすすめできません。1ヶ月単位では0.5%の減額と小さく感じますが、これを1年分繰り上げるとなれば6%となり、食料品にかかる消費税に迫る勢いの数値になります。
 
さらに、それが一生続くと考えると、その影響は莫大なものとなります。それを踏まえると、年金を繰り上げる際はよほど生活が切迫しており、年金の繰り上げをしなければ生活ができない状況でもない限り避ける方が無難です。
 

繰り上げをするくらいなら就労も視野に

現在では定年後もアルバイトや再雇用などで継続して就労する高齢者も増えています。仕事内容や自身の健康次第では、60歳以降も働き続けることは決して難しいことではありません。
 
年金の繰り上げを視野に入れる前に、65歳までの短期と割り切って就労をして生活費を賄っていくというのも良いでしょう。
 

どうしても繰り上げをするなら2022年4月以降がおすすめ

繰り上げ受給による減額率は2021年4月現在0.5%ですが、その割合が2022年4月からは0.4%に引き下げられる見込みとなっています。
 
もし、どうしても繰り上げ受給を選択せざるを得ないと判断した場合でも、できる限り2022年4月以降に行うようにすると1ヶ月当たり0.1%ではありますが、減額割合を低く抑えることができます。
 

繰り上げ受給は年金額の減少に注意

年金は繰り上げ受給をすることで最短60歳から受け取ることができるようになります。しかし、一度繰り上げをすると繰り上げた月数×0.5%分減額され、減額された年金を一生受け取り続けることになるため注意が必要です。
 
2022年4月からは減額率が0.4%に緩和されることも踏まえ、年金の受給を早める際は十分に検討してから行うようにしてください。年金についての相談は年金事務所や街角の年金相談センター、ねんきんダイヤルへ問い合わせると良いでしょう。
 
※2021/4/30 記事を一部修正いたしました。
 
参考
厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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