更新日: 2021.04.26 その他年金

子どもが発達障害と診断。障害年金は受給できる?

子どもが発達障害と診断。障害年金は受給できる?
子どもが発達障害と診断された場合、障害年金は受給できるのでしょうか。
 
この問いに答えるためには、障害年金の仕組みを理解しなければいけません。発達障害は障害年金の対象になるのか、子どもは障害年金の支給対象となるのか、という視点から考えていきたいと思います。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

発達障害は障害年金の対象となる

障害年金を受給するためには、一定の障害の状態にあることが要件の1つとなっています。ここでいう障害とは、外部障害、精神障害、内部障害のことを表します。
 
日本年金機構によると、外部障害、精神障害、内部障害とは、以下のような障害のことをいいます。
 

●外部障害:眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
●精神障害:統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
●内部障害:呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

 
ここから、発達障害は精神障害に該当し、障害年金の対象となることが分かります。
 

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受給は20歳になってから

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があり、それぞれに支給要件(受給要件)があります。
 
障害基礎年金の支給要件は、以下のとおりです。
 

●国民年金に加入している間に、初診日(障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)があること
●一定の障害の状態にあること
●保険料納付要件を満たしていること

 
障害厚生年金の支給要件は、以下のとおりです。
 

●厚生年金に加入している間に、初診日があること
●一定の障害の状態にあること
●保険料納付要件を満たしていること

 
障害基礎年金と障害厚生年金の支給要件は、一見同じように見えます。しかし、障害基礎年金については、以下の点で障害厚生年金とは異なります。
 

●初診日が年金制度に加入していない期間の場合(20歳前や60歳以上65歳未満の場合)も含む(ただし、日本国内に住んでいる場合に限る)
●20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は無い

 
つまり、原則として障害基礎年金も障害厚生年金も、支給要件として(1)年金に加入していること(2)一定の障害の状態であること(3)保険料を支払っていることが必要とされています。
 
ただし、障害基礎年金については、年金に加入する前に一定の障害の状態になった場合、年金に加入する年齢になったら保険料を納付していなくても年金を支払うという仕組みになっているということです。
 

まとめ

今回の問いは、「子どもが発達障害と診断された場合、障害年金は受給できるのか」ということでした。結論としては以下のようになります。
 

子どもが発達障害と診断された場合、診断された時点では障害年金は受給できない。
 
ただし、発達障害は障害年金の対象となり、一定の障害と認められた場合、20歳になったら障害基礎年金を受給できる(障害厚生年金は受給できない)。

 
お子さんが発達障害と診断された場合、20歳を過ぎてから市・区役所または町村役場の国民年金の窓ロ、年金事務所などで相談されるのがよいでしょう。もしその時点で一定の障害と認められたのであれば、障害基礎年金の決定請求の手続きを市・区役所または町村役場の国民年金の窓口で行うようにしてください。
 
出典
日本年金機構 「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
日本年金機構 「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」
日本年金機構 「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(第1章第8節 精神の障害)」
日本年金機構 「子供の頃から障害があります。20歳になれば障害基礎年金を受けることができますか。」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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