更新日: 2021.05.13 その他年金
兄弟姉妹が亡くなった場合に受けられる年金制度の給付は?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
兄弟姉妹に遺族年金は支給されない
公的年金には遺族年金制度がありますが、亡くなった人の兄弟姉妹は受け取ることができるかどうか、という疑問が生じることでしょう。
しかし、国民年金制度の遺族基礎年金は、(1)子のある配偶者、または(2)子が対象で、厚生年金保険制度の遺族厚生年金は、(1)配偶者・子、(2)父母、(3)孫、(4)祖父母がその対象となります。そのため、遺された兄弟姉妹は遺族年金の対象にはなりません。
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未支給年金の対象遺族に
一方、年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)を受給していた人が亡くなった場合の未支給年金制度があります。年金は亡くなった月の分までが支給対象ですが、【図表1】のとおり、原則偶数月での後払い制のため、少なくとも亡くなった月の分の年金については、本人は受け取れず、未支給分の年金が発生します。
(国民年金法・厚生年金保険法の規定、日本年金機構HPを元に筆者作成)
亡くなった人と生計を同じくしていた、(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)その他の3親等以内の親族が、その未支給分を請求できる遺族です。つまり、兄弟姉妹も対象ですが、未支給年金を請求できる遺族の優先順位は(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)の順ですので、(1)~(5)の遺族がいなければ、兄弟姉妹が請求することになります。
もし、亡くなった当時、亡くなった人と住所が別であっても、経済的援助、音信・訪問の事実を申し立てて生計が同じであると認められれば、未支給年金を受け取れることになります。
死亡一時金が受けられる場合も
国民年金制度の独自給付として死亡一時金があります。亡くなった人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けておらず、その遺族にも遺族基礎年金が支給されない場合で、亡くなった人自身が国民年金保険料を36月分以上納付していた場合に支給される一時金となっています。つまり、国民年金保険料の掛け捨て防止のための一時金です。
死亡一時金は、亡くなった人と生計を同じくしていた(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹がその対象(遺族の優先順位は(1)(2)(3)(4)(5)(6)の順)で、未支給年金の場合と同様(1)~(5)までの遺族がいない場合に兄弟姉妹が請求できます。死亡一時金の額は【図表2】のとおり、国民年金保険料の納付月数によって異なります。
(国民年金法・厚生年金保険法の規定、日本年金機構HPを元に筆者作成)
兄弟姉妹が亡くなった際に近い親族が自身しかいない場合、公的年金制度から以上のような給付制度があります。独身で子がいない人もこれから増えると予想される中、自身が請求者となる兄弟姉妹に該当する場合は、亡くなった後忘れずに年金事務所等に手続きを行うことが大切です。
(図表参考)
国民年金機構「Q 年金の支払月はいつですか。」
国民年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
日本年金機構「死亡一時金」
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー