更新日: 2021.05.26 その他年金

会社役員になった場合、年金はどうなる?

会社役員になった場合、年金はどうなる?
老後の生活を考える上で、年金は欠かせない存在です。それは、会社役員になっても同じことです。
 
以下では、会社役員の年金はどうなっているのかについて解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

会社役員とは取締役、会計参与、監査役のこと

まずは会社役員について定義します。会社法第329条に、「役員(取締役、会計参与及び監査役をいう)」という文言があります。このことから、会社役員とは「取締役(代表取締役を含む)」「会計参与」「監査役」のことといえます。
 
ちなみに、会社とは会社法第6条第2項に「会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い」とあることから「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」が考えられますが、会社法第329条は株式会社についての規定ですので、ここでは「会社役員」を「株式会社の役員」として話を進めます。
 

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厚生年金保険の加入要件は大きく分けて2種類

厚生年金保険に加入する要件として、(1)会社としての要件と(2)個人としての要件に分けられます。
 
(1)は、会社が「適用事業所」に該当するかどうかが要件となります。
(2)は、個人が「被保険者」に該当するかどうかが要件となります。
 

適用事業所の要件

厚生年金保険に加入するためには、まずは会社としてその要件を満たす必要があります。厚生年金保険は事業所単位で適用されるためです。事業所としては、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」とがありますが、ここでは強制適用事業所を取り上げます。
 
強制適用事業所は、強制的に厚生年金保険の適用事業所になる事業所をいいます。以下のいずれかの条件を満たす事業所は、強制適用事業所となります。
 

●常時従業員を使用する株式会社や、特例有限会社などの法人の事業所または国、地方公共団体
●常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(旅館、飲食店、理容店などのサービス業は除きます。)
●船員が乗り組む一定の条件を備えた汽船や漁船などの船舶

 
今回取り上げている会社の場合、1つめの条件を満たすと強制適用事業所となります。つまり、常時従業員を使用しているかどうかが、判断の分かれ目となります。
 

被保険者の要件

会社が適用事業所である場合、次は個人として要件を満たしているかどうか(被保険者であるかどうか)を確認します。被保険者は、(1)被保険者と(2)パートタイマー・アルバイトなどとに分けて判断します。
 
(1)の被保険者の要件は、70歳未満で、適用事業所に常時使用されることです。「常時使用されている」とは、適用事業所で働き、その対価として給与や賃金を受け取っている(使用関係にある)ことをいいます。雇用契約書があるかどうかは重要ではありません。
 
会社役員の場合、対価を受け取っていれば(1)に該当することになります。なお、役員の報酬は、株主総会で決議されることになっています(会社法第361条第1項)。
 

まとめ

会社役員になった場合でも、会社員と同じように厚生年金保険に加入することができます。要件としては、(1)会社が厚生年金保険の適用事業所であること、(2)個人が厚生年金保険の被保険者に該当することです。
 
この要件は、会社員の場合と同じです。ですから、会社員から会社役員になったとしても、年金の考え方は変わりません。
 
役職が変わったときも、資金計画を見直すきっかけとなります。資金計画を見直す際には、ファイナンシャルプランナーを活用してみるのもよいのではないでしょうか。
 
出典・参考
e-Gov法令検索 「会社法」
日本年金機構 「適用事業所と被保険者」
日本年金機構 「Q厚生年金保険が適用されるのは、どのような事業所ですか。」
日本年金機構 「社会保険の加入についてのご案内」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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