更新日: 2021.06.22 年金

遺族年金の受給にもジェンダーが!? 男女による受給要件の違いとは?

執筆者 : 柘植輝

遺族年金の受給にもジェンダーが!? 男女による受給要件の違いとは?
男女平等がさまざまな場面で進められていく一方、まだまだ多くの場面で男女平等とは言えない制度もあります。その1つが遺族厚生年金の受給要件です。
 
あまり話題になることはありませんが、遺族厚生年金は遺族が男であるか女であるかによって受給要件に違いが設けられています。
 
今回は遺族厚生年金における男女差について見ていきます。
 
柘植輝

執筆者:

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

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大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

柘植輝

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遺族厚生年金の受給要件は?

最初に遺族厚生年金の受給要件について見ていきましょう。遺族厚生年金は、厚生年金の加入者が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた次のような方を対象に受け取れる制度です。
 

●妻(子がいない場合で30歳未満は5年間の有期)
●子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない、または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
●55歳以上の夫、父母、祖父母(ただし支給開始は60歳から。夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます)

 

遺族厚生年金を夫が受給することは難しい

先に見ていただいたように、妻が遺族厚生年金を受け取るのは容易です。子がおらず30歳未満であるという限定的な状況ではない限り、特に大きな制限もありません。仮にその限定的な条件に合致してしまった場合でも、5年間は遺族厚生年金を受け取ることができます。
 
それに対して夫は、年齢が55歳以上でなければ遺族厚生年金の受給対象者となりません。さらに、実際に遺族厚生年金を受給できるは60歳からと、最大で5年のタイムラグがあります。
 
つまり、専業主夫を長年続けていた場合で、職探しに困ってしまうような状況であったとしても、容易には遺族厚生年金を受け取れないということです。
 
このように、男女の違いで遺族厚生年金を受給するためのハードルが大きく異なっています。ちなみに、遺族基礎年金の受給要件は男女による性別差は規定されていません。
 

なぜこのような男女差が生じている? これは合法なの?

遺族厚生年金におけるこの男女差は、実は法的には違法ではないといわれています。それは、労働人口における男女比や平均賃金の差などから、妻のみに年齢要件がないことは合理的な理由であると最高裁が判断したからです。
 
もっとも、この裁判例は遺族厚生年金ではなく、遺族補償年金が元となった裁判でしたが、制度と判決の趣旨から考えると遺族厚生年金も同様の結論が導かれることになるでしょう。
 

専業主夫はどうするべき?

このように夫と妻とで遺族厚生年金の受給ハードルが大きく異なります。そのため、妻が働いて夫が家事をする専業主夫という形態をとっている家庭は、遺族厚生年金に頼ることなく生活していける備えをしておくことが大切です。
 
貯金はもちろんですが、生命保険に加入したり、投資信託で資産形成を図るなど、万が一、外で働く妻の身に何かあっても生活を立て直せるだけの対策を早期に講じておくべきです。
 

男女の性別問題は年金にも!

遺族厚生年金は、男性にのみ55歳以上が対象となるといった年齢制限が付与されています。これは専業主夫やパートで働く男性にとって厳しいものです。女性が外で働き、男性が主夫業を行うという世帯においては、この点についてしっかりと認識し、生命保険や貯蓄、投資信託の利用など、遺族厚生年金に頼らずとも生活していけるための基盤を整えていくようにしてください。
 
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
日本経済新聞 遺族年金の男女差「合憲」 最高裁が初判断
 
執筆者:柘植輝
行政書士