「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の受給要件と対象者は?
配信日: 2021.06.25
遺族基礎年金とは国民年金に加入していた人が亡くなった際に、そして遺族厚生年金とは厚生年金に加入していた人が亡くなった際に支給されるものですが、それぞれ支給される要件や受給できる人、そして受給額に違いがあります。
今回はこの2つの遺族年金の違いについて解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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遺族基礎年金とは
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が亡くなった際、その方によって生計をたてられていた遺族の方に支給される年金です。
(参考:日本年金機構「遺族基礎年金」(※1))
■支給要件
遺族基礎年金を受け取るためには、以下の支給要件に当てはまる必要があります。
●亡くなった方が国民年金の加入者、もしくは老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者であること。
●亡くなった日の前日において、免除期間を含む保険料の納付期間が加入期間の3分の2以上あること。
●死亡日が2026年(令和8年)4月1日以前で亡くなった場合、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がないこと。
■受給できる人
亡くなった人によって生計を維持されていた以下の人が受給できます。
●子どものいる配偶者または子ども
(ここでいう「子ども」とは、以下の条件に当てはまる子どもを指します)
●年度年齢が18歳未満であること
●20歳未満で障害年金等級1級もしくは2級の指定を受けていること
■支給額
78万900円+子の加算(2021年4月以降適用)
この場合の子の加算額については以下のとおりです。
2人目までは1人につき22万4700円、3人目以降は1人当たり7万4900円
■いつまで受給できる?
遺族基礎年金は、受給資格を失うまで受給することが可能です。そして、受給資格を失うのは以下のケースに当てはまった時です。また、その際には年金事務所に対して「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
●受給者本人の死亡
●受給者本人の婚姻
●末子が18歳になった年度の3月31日
など
遺族基礎年金は、受給できる人の要件が子どもの年齢を基準に定められています。したがって、それらの要件を満たさなくなった場合は、受給権がなくなります。
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遺族厚生年金とは
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた、もしくは加入していた時期の病気やけがが原因でその初診日から5年以内に亡くなった場合、残された遺族の方が受給できる年金です。
したがって、死亡時に離職等で厚生年金に加入していなくても、5年以内に厚生年金に加入していた期間があり、その期間内に発症した病気やけがが原因で亡くなった場合であれば、受給できる可能性があることを覚えておきましょう。
(参考:日本年金機構「遺族厚生年金」(※2))
■支給要件
遺族厚生年金を受け取るためには、以下の支給要件に当てはまる必要があります。
●亡くなった方が厚生年金保険の被保険者である、もしくは加入していた時期の病気やけがが原因でその初診日から5年以内に亡くなったこと。
●亡くなった方が障害厚生年金(1級もしくは2級)の受給者であること。
●亡くなった方が老齢厚生年金の受給権者もしくは受給資格期間を満たした方であること。
(保険料納付期間や滞納の要件については、遺族基礎年金と同じ)
■受給できる人
遺族厚生年金を受給できる人の範囲は、遺族基礎年金と比べて範囲が広く定められており、具体的には以下の方が受給できます。
●妻
●子どもや孫(年齢要件については遺族基礎年金と同じ)
●55歳以上の夫(遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も併せて受給可能)
●父母、祖父母
(55歳以上の夫および父母、祖父母への支給開始は60歳からです)
ただし、優先順位が決められており、1位が配偶者と子、2位が父母、3位が孫、4位が祖父母の順となっていることに注意が必要です。
■支給額
亡くなった方の老齢厚生年金のうち、報酬比例部分の4分の3となっています。
■いつまで受給できる?
子どものいない30歳未満の妻の場合は、給付期間が5年間と限定されますが、それ以外の場合の受給権消滅要件は以下のとおりです。
●受給者の死亡
●受給者の婚姻
●受給者が子どもの場合は、18歳になった年度の3月31日
など
この場合も、遺族基礎年金と同様に年金事務所に「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
まとめ
遺族厚生年金は遺族基礎年金と比べ、受給できる人の範囲も広く、亡くなった方の加入期間や標準報酬月額によっては、遺族基礎年金よりも多く受け取ることができます。また、厚生年金加入者であれば、基礎年金に上乗せして支給されることから、遺族の方も多くの遺族年金を受け取ることができるといえます。
したがって、自営業者や個人事業主の方にもしものことがあった場合で、遺族基礎年金のみの受取額だと、残された遺族がその後負担のない生活を送ることはかなり難しいと想定されます。
もちろん、自営業者や個人事業主の方に限ったことではありませんが、自分に万が一のことがあった場合、遺族の方にどれくらいの遺族年金が支給されるのかをきちんと確認し、公的な遺族年金だけでは不足すると考えられる部分については民間の死亡保険などで準備しておくなど、対策をしっかりととっておくようにしましょう。
出典
(※1)日本年金機構「遺族基礎年金」
(※2)日本年金機構「遺族厚生年金」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員