「同い年夫婦」と「年の差夫婦」 年金ではどのような違いがある?
配信日: 2021.06.26
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
全ての人が加入する公的年金
日本の年金制度は国民皆年金であり、自営業者も会社員も主婦も、原則として20歳以上60歳未満の全ての国民が公的年金に加入します。自営業者や学生などは厚生年金に加入しない第1号被保険者、会社員や公務員などは厚生年金に加入する第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者(会社員の配偶者)は第3号被保険者となります。
会社員の夫が第2号被保険者、パートで働く妻が社会保険料を納めていない第3号被保険者の場合、夫婦それぞれが自分の年金手帳を持っており、ねんきん定期便も夫婦それぞれに届きます。つまり年金は、国民一人ひとりが個別に受け取れるものなのです。
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厚生年金制度に家族手当がある!?
厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳に到達したときに生計を維持している配偶者または子どもがいる場合、要件を満たすと老齢厚生年金に加算して加給年金を受け取ることができます。
要件を満たす配偶者がいる場合は加給年金と配偶者加給年金の特別加算額を合計し、受給できる配偶者加給年金は年額約39万円となります。生計を維持する家族がいるという理由で受け取れる年金が増える制度であるため、年金の家族手当のようなものだとも解釈できます。
配偶者加給年金の受取期間
配偶者加給年金は、配偶者との年齢差があればあるほど受け取る期間が長くなります。その理由は、年下の配偶者が原則65歳になるまで配偶者加給年金を受け取ることができるからです。
例えば、夫より妻が15歳年下といったように年の差がある夫婦の場合、夫が65歳になって厚生年金を受給できる年齢になったとき、妻はまだ50歳であり、老齢基礎年金を受け取る年齢に達していないため、要件を満たしていると夫は配偶者加給年金を受け取ることができます。
妻が65歳になり、妻自身の老齢基礎年金を受け取れるようになると配偶者加給年金は支給停止となりますが、それまでの15年間は毎年約39万円(15年間の合計で約585万円)の配偶者加給年金を受け取り続けることができます。
※年上を夫、年下を妻という条件で説明しましたが、年齢が逆のケースも同様です。
なお、同い年の夫婦である場合は、夫と妻が同時に老齢年金を受給する年齢に達するため、配偶者加給年金を受け取る期間がありません。
配偶者加給年金が受け取れる要件
配偶者加給年金は配偶者がいれば誰でも受給できるというものではなく、一定の要件を満たすことが必要となります。その要件とは、「厚生年金の加入期間が20年以上あること」です。
年の差がある夫婦であっても、年上の配偶者の厚生年金期間が20年に満たなければ配偶者加給年金を受け取ることはできません。その他にも、年上の配偶者が年下の配偶者の生計を維持していること、年下の配偶者の年収が850万円(または所得655万5000万円)未満などいくつかの要件があります。
前述の夫65歳、妻50歳の例で、夫の厚生年金加入期間が20年以上の場合は配偶者加給年金を15年間の総額で約585万円受け取れますが、厚生年金加入期間が19年以下の場合は受給の対象とはなりません。
以上、同い年夫婦では受け取れず、年の差夫婦では年の差が大きいほど長い期間受け取れる配偶者加給年金についてお伝えしました。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント