公的年金と私的年金には、それぞれどんなものがある?

配信日: 2021.07.06

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公的年金と私的年金には、それぞれどんなものがある?
将来私たちが受け取ることができる年金は、大きく分けて公的年金と私的年金があります。それぞれどのような特徴があり、その制度を最大限活用するにはどのような点を心がけておけば良いのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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公的年金とは?

公的年金とは、日本に住んでいるすべての人が加入する年金制度で、国民年金、厚生年金、そして共済年金の3つの制度に分類されています。
 

■国民年金

国民年金とは、20歳以上60歳以下の日本国内に住むすべての人に加入が義務づけられています。納付形態はその人の属性によって異なり、第1号被保険者は自分で納付します。第2号被保険者は厚生年金もしくは共済年金と併せて事業所経由で納付します。そして第3号被保険者は、配偶者である第2号被保険者の制度に合わせて納付する形となります。
 

■厚生年金

厚生年金保険の適用事業所、およびその適用を受ける事業所に勤務するすべての人が加入する制度です。保険料は事業主と被保険者の折半となり、給料から天引きされる形で保険料を納めることになります。
 

■共済年金

公務員(国家および地方)や私立学校の教職員などが加入する年金制度です。給付には短期給付そして長期給付の2種類があり、年金に該当するのは長期給付の部分です。
 
(出典:日本年金機構「公的年金の種類と加入する制度」(※1))
 

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私的年金とは?

では次に、私的年金の制度にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
 

■確定給付企業年金(DB)

規約型と基金型に分かれており、規約型は事業所が主体となって生命保険などと契約を結び、従業員の年金を給付するための運用をおこない、退職後に規約で決められた年金額を支給するものです。一方基金型とは、事業主が企業年金基金を設立し、そこで運用をおこなったものを従業員の退職後の年金に充てるというものです。
 
しかし最近では金利の低下に伴い、基金が破綻するケースが相次いだことから、確定拠出年金への移行を導入している企業が増えています。
 

■確定拠出年金

確定拠出年金には企業型と個人型が存在し、個人型がiDeCoといわれるものです。企業型は企業が規約を制定し、運用会社を選定して掛け金を拠出します。
 
確定給付年金との大きな違いは、運用するのが従業員(iDeCoの場合は個人)であるということです。したがって、おのおのの運用成果によって老後の退職金および年金額に違いが出てくることになります。
 

■国民年金基金

第1号被保険者(自営業者やフリーランスなど)が加入できる基金です。加入し、掛け金を支払うことによって、将来公的年金に加えて年金を受け取ることができます。
 
(出典:厚生労働省「私的年金制度の概要」(※2))
 

公的年金の活用方法

公的年金には以下のように、将来受け取れる年金額を増やすことができる制度や、前納制度、さらには免除制度などがあります。
 

■国民年金の付加保険料

国民年金の第1号被保険者および任意加入の方が利用できます。月額の保険料は400円で、将来年金を受給する際には付加保険料を納めた期間(月数)に200円を乗じた額が上乗せされます。
(出典:日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」(※3))
 

■国民年金保険料の前納

国民年金保険には2年前納の制度があり、それを利用すると1万5000円程度の割引です。さらに、支払いにクレジットカードが利用できるようになったことから、利用するクレジットカードのポイント還元率により、実質さらなる割引を受けることも可能です(ポイント還元の対象にならないクレジットカードもありますので、各社のホームページ等をご確認ください)。
 
前納には他にも6ヶ月前納や1年前納の制度も設けられていることから、まとめて支払えるのであればこのような制度を利用するとお得になります。
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の「2年前納」制度」(※4))
 

■厚生年金の産休および育休中免除

厚生年金保険においては、産前産後休暇そして育児休暇中の保険料の支払いを免除できる制度があります。制度の利用にあたっては、事業主から日本年金機構へ届け出る必要がありますが、免除期間も保険料納付期間としてみなされます。
(出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)(※5)」
 

■厚生年金の養育期間みなし措置

育児休暇が終了し、復帰した際には厚生年金保険料を支払う必要がありますが、その際の保険料の算定基準は、休業前の標準報酬月額となります。
 
とはいえ、育児休暇から復帰した際には、短時間勤務などを利用するケースが多く、給与が減少することも考えられます。そうなると、実際にもらっている給与よりも高い給与額で計算した保険料を払っていることになるため、家計にも負担が生じる可能性があります。
 
そのため、復帰後3ヶ月間の給与の平均を新たな標準報酬月額とし、それに応じた保険料を支払うことができます。
 
また、このみなし措置は子どもが3歳になるまで適用されますが、その間に支払う保険料が少なくなったとしても、将来もらえる年金額は休業前の標準報酬月額を基に計算されるという非常にありがたい制度となっています。こちらについても、事業主が日本年金機構に届け出をおこなうことで手続きが可能です。
(出典:日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」(※6))
 

私的年金の活用方法

私的年金においては、確定拠出年金制度をいかにうまく使いこなすかがポイントとなります。
 
特に2020年の改正年金法により、確定拠出年金の加入要件が見直され、企業にお勤めの方も会社の規約によってはiDeCoへの併用加入が可能となったり、加入年齢が60歳から65歳までに引き上げられるなど、より長期の運用が可能となっています。
(出典:厚生労働省「年金制度改正法の概要」(※7))
 
また、第1号被保険者であれば、国民年金基金の活用も視野に入れましょう。将来受け取れる年金を増やすことができるだけでなく、掛け金も所得控除の対象となるなど税制の優遇を受けることができるため、できるのであれば、加入を検討してみてもよいでしょう。
 
ただし、確定拠出年金と同様に途中でやめるということはできませんので、加入の際には続けて掛け金を支払っていくことができるかをきちんと考えるようにしましょう。
 

まとめ

将来受け取ることができる年金額については非常に気になるところではありますが、今後の年金制度はこれまでとは異なり、自己責任の色が濃くなっていくと考えられます。その最たるものが確定拠出年金でしょう。
 
自分の運用の成果が将来受け取れる年金額にダイレクトに反映するという意味でも、早いうちから制度の内容を理解するとともに、自分が将来どのくらいの年金額を受け取りたいかを考え、計画的に資産形成をおこなう必要があります。
 
現在、そのような努力をおこなう方に対しては税制の優遇策などが設けられていますので、節税面とも合わせて有効に活用していくようにしましょう。
 
出典
(※1)日本年金機構「公的年金の種類と加入する制度」
(※2)厚生労働省「私的年金制度の概要」(企業年金、個人年金)
(※3)日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」
(※4)日本年金機構「国民年金保険料の「2年前納」制度」
(※5)日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
(※6)日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」
(※7)厚生労働省「年金制度改正法の概要」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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