年金保険料を免除する方法はありますか?
配信日: 2021.07.16
しかし何らかの事情により、一時的に保険料の納付が困難となることもあります。そういった場合に利用できる、年金保険料の免除制度について紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
国民年金保険料の免除制度とは
国民年金保険料の免除制度とは、収入の減少や失業などの理由から国民年金保険料の納付が経済的に困難であるときに、申請することで保険料の納付が免除される制度です。
新型コロナウイルスの影響による収入減少なども対象となっており、この場合は臨時特例として簡易な手続きで免除申請が可能です。何らかの事情で収入が大きく減少したり、失業状態となって保険料を納付できない場合は、速やかに免除の申請をするべきです。
なお、免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4つのパターンがあります。
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免除の申請にはメリットが多い
経済的な理由で国民年金を払えない場合でも、そのままにしていると未納扱いとなって将来受け取れる年金額が減少したり、受給資格(最低10年以上の期間が必要)を満たさないとして年金を受け取れないことがあります。
しかし、免除の申請をしていると、受給資格の計算に当たって免除期間は保険料を納付したものとして扱われますし、一定部分までは将来受け取れる年金額にも反映され、結果的に未納状態よりも受け取れる年金額が増えることになります。
これは、原則65歳から受け取れる老齢基礎年金だけでなく、障害を負った際に受給できる障害基礎年金、万が一の際に遺族に支給される遺族基礎年金にも反映されます。老齢基礎年金額への反映についての詳細は下記表を参考にしてください。
平成21年4月分からの保険料を免除された期間の年金額 | |
---|---|
免除の種類 | 将来の年金額への反映 |
全額免除 | 保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が支給 |
4分の3免除 | 保険料を全額納付した場合の年金額の5/8が支給 |
半額免除 | 保険料を全額納付した場合の年金額の6/8が支給 |
4分の1免除 | 保険料を全額納付した場合の年金額の7/8が支給 |
※日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」より筆者作成
免除された保険料は追納可能
国民年金の保険料が免除されると、受給資格を判定する期間にはカウントされますが、将来的に受け取る年金額は減少します。
もし将来、国民年金を満額受け取りたい場合は、保険料を追納することで満額に近づけることができます。しかし、国民年金の保険料を追納できるのは10年以内という注意点があります。詳細については年金ダイヤルや最寄りの年金事務所などへお問い合わせください。
免除の申請手続きはどうすればいい?
国民年金の保険料は、収入が減少した場合などに自動で免除扱いとなるわけではなく、一定の申請手続きが必要です。申請は住民登録をしている市区町村役場で行いますが、その際に年金手帳または基礎年金番号通知書が必要となるほか、個別の事情によって提出する書類が異なります。
免除の申請については必要な書類などを含め、最寄りの市区町村役場の担当窓口に確認した上で行うようにしてください。
厚生年金に免除はないの?
厚生年金は、産前産後休業や育児休業などの期間中の保険料が免除されます。また、免除ではありませんが、短期間で給与が急激に変動したといった事情がある場合、随時改定という仕組みによって保険料の見直しがされ、収入が大きく下がればそれに応じて保険料も下がることもあります。
どちらも事業主を通じて手続きするため、詳しくは事業主へご相談ください。
国民年金の保険料が払えない場合は免除の申請を
国民年金の保険料の納付が経済的に困難な場合は、免除の申請手続きを取ることで未納扱いとはならず、将来の年金への影響を最小限にとどめることができます。
国民年金保険料の免除についての詳細は、最寄りの年金事務所、ねんきんダイヤル、市区町村役場へお問い合わせください。
参考
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
執筆者:柘植輝
行政書士