転職先に企業型確定拠出年金の制度があるけど活用すべき? すでにiDeCoに入っている場合の選択肢とは
配信日: 2021.07.27
転職先の企業型確定拠出年金に入るべきか、それともiDeCoを継続するべきなのか、その最適解について考えていきます。
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
基本的には転職先の企業型確定拠出年金に加入する
転職先の会社に企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)が導入されている場合、基本的には企業型DCに加入することになります。
その際、iDeCoで運用されていた資産をいったん現金化して、企業型DCへ移行するか、iDeCoの口座に置いたまま運用指図者として今まで拠出した掛け金の運用のみを継続するか、選択することになります。
運用指図者となる場合、iDeCoに新たな掛け金の拠出こそできないものの、今までどおり資産運用は可能です。ただし、口座管理手数料など諸費用も生じます。
企業型DCとiDeCoを併用できることもある
勤務先の企業型DCの規約や掛け金の拠出額などによっては、企業型DCとiDeCoに同時加入できる場合があります。
現在、これが可能とされる企業はそう多くはないのですが、2022年4月にはiDeCoの加入要件が緩和されるため、多くの企業において企業型DCとiDeCoの同時加入が認められることになると想定されています。
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転職先の企業型確定拠出年金は積極的に活用すべき?
絶対ではありませんが、転職先に企業型DCが導入されているのであれば、積極的にそちらを利用するべきです。その理由が手数料の負担にあります。
企業型DCでは掛け金のほか、諸々の手数料を勤務先が負担してくれるのですが、iDeCoにおいては掛け金だけでなく毎月発生する手数料が全額自己負担となるからです。
例えば、マネックス証券では毎月発生する口座管理手数料として、掛け金の拠出を行う方では月額171円、掛け金を拠出しない運用指図者では66円かかります。
月額で考えると微々たるものですが、数十年続くと大きな差となります。長期間運用するのであれば、できる限り手数料が発生しない企業型DCの方を利用したいところです。
あえてiDeCoで運用を続ける方がいいこともある
企業型DCへの加入が本人の判断に委ねられていたり、iDeCoとの同時加入が認められている場合でも、企業型DCにiDeCoの資産を移さず、可能な範囲でiDeCoを継続する方がいい場合もあります。
なぜなら、企業型DCでは資産の運用先となる金融機関や金融商品を本人の希望ではなく、会社が指定した金融機関と金融商品の範囲内で行わなければならないからです。
資産運用においては、どのような金融商品で運用するかは非常に大きな意味を持ち、運用する金融商品によって将来の資産額が大きく増えたり減ったりします。金融機関によって扱う金融商品が異なるため、iDeCoでの運用と全く同じ運用ができるとも限りません。
また、iDeCoの資産を企業型DCに移す際は、いったんiDeCoの資産が現金化されることになるため、運用が一時的に途切れて運用成績に支障が出ることもあります。
企業型DCとiDeCoの最適解は?
転職先に企業型DCが導入されている場合の最適解は、加入先となる金融機関をよく調べることで導くことができます。
例えば、企業型DCとiDeCoの選択が自由であれば、企業型DCの金融機関を調べ、そこに自身の運用方針に沿う金融商品が揃っていた場合は手数料がかからない企業型DCに加入するべきでしょう。逆に、加入先となる金融機関では望む運用ができない場合はiDeCoをメインに継続していくべきです。
また、iDeCoとの併用ができない場合でも運用指図は可能であるため、加入先の金融機関に不満があれば、iDeCoの資産は企業型DCに移さずに運用のみをするといった具合です。
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必ずしも企業型確定拠出年金がiDeCoに勝っているわけではない
基本的に手数料を事業主が負担する企業型DCの方が、iDeCoに比べて有利になります。
しかし、加入先の金融機関によっては金融商品に違いがあり、iDeCoで自身の運用方針に沿う運用をする方が上手に資産形成できることもあります。手数料の差は金融商品の差に比べたら微々たるものです。
転職先に企業型DCが導入されており、iDeCoとどちらを主にして運用していくか迷ったときは、両者の金融機関で扱っている金融商品を比較して決めるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 2020年の制度改正
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執筆者:柘植輝
行政書士