更新日: 2021.07.27 iDeCo(確定拠出年金)

65歳までiDeCoに加入できるようになる? 60歳以降で加入する場合の注意点

65歳までiDeCoに加入できるようになる? 60歳以降で加入する場合の注意点
iDeCoは60歳までしか加入できないと聞いて、「今さら……」とあきらめていた50代や、60歳以上の方に朗報です。iDeCoの加入可能年齢が65歳未満の方にまで広がることとなりました。
 
ただ、加入期間を考えると60歳以降でiDeCoに加入するにはリスクもあります。今回は、60歳以降でiDeCoを始める場合の注意点について解説します。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

65歳未満まで加入できるのはいつから?

2022年5月より、iDeCoの加入可能年齢が現行の60歳未満から65歳未満へと引き上げられます。この改正よって、すでに60歳以上である方や、50代で加入に尻込みしていた方にも広く門戸が開かれることになります。
 

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どんな人が60歳以降も加入できる?

60歳以降でのiDeCoへの加入は、国民年金に任意加入しているか、第2号被保険者(厚生年金加入者)であり、年金を繰り上げ受給していない方であれば、基本的に誰でも65歳まで可能です。
 

60歳以降にiDeCoに加入する場合の注意点は?

60歳以降にiDeCoに加入するということは、高齢であり、かつ最長でも5年間しか加入期間がないということになります。それによって次のようなデメリットを誘発することに注意が必要です。
 

節税効果が小さい

拠出した掛け金が全額所得控除として扱われるiDeCoは節税効果が非常に高く、これを目当てにiDeCoへ加入している現役世代の方も多くいるほどです。
 
しかし、一般的に60歳以降は定年や再雇用などで収入が現役時と比較して減少することが多く、節税効果という面ではiDeCo加入のメリットが小さくなります。
 
特に、所得税や住民税が非課税となる範囲でしか働かない場合や、定年後に再就職しない状態で加入すると節税効果が0という場合もあります。
 

運用リスクが大きくなる

iDeCoは拠出した掛け金を自身の責任の下、指図しながら運用して資産形成を図っていくことになります。
 
本来であれば長期の運用によって、リスクを極限まで低減させて資産形成を図っていくのが理想です。例えば、掛け金を株式運用する場合、毎月一定額を拠出し、市場の動向に合わせて運用している資産の価格が上昇と下落を繰り返しながら、結果として数十年後、平均リターンがプラスになるというドルコスト平均法に基づく運用結果を目指します。
 
しかし、60歳以降の加入では最長でも5年間のため、時間によるリスク分散が効かなくなり、例えば今回のコロナ禍のような事態が起こると、年金受取時に資産が大きく減少しているという可能性もあります。
 

運用利益が少なくなる

先の話を聞くと、「じゃあiDeCoは元本割れが起こらない定期預金で運用すればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、それでは運用益がほとんど得られません。
 
iDeCoは運用によって得た利益が非課税となり、掛金分の節税と併せて、長期間で節税をしながら運用益を狙うことで効率よく資産形成ができる制度です。さらにiDeCoは毎月、口座管理の手数料が生じます。そのため定期預金で運用していると、思ったように資産が増えないということも起こり得ます。
 

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60歳以降は安易にiDeCoに加入しないこと

iDeCoが60歳以上65歳未満の方でも加入可能になるとはいえ、60歳以降に加入するには時間的な面や収入面から現役世代と比較してメリットが小さく、リスクが大きくなりやすいです。
 
老後は限られた資金と収入でやりくりしていかなければなりません。2022年5月の改正を機に、60歳以降でiDeCoに加入しようと考えているのであれば、よく検討し、リスクが許容できる範囲であると自信を持って言い切ることができる方のみ加入するべきではないでしょうか。
 
出典
企業年金連合会 通算加入者等期間
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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