更新日: 2021.07.28 その他年金

定年後も働くと年金が受け取れないことも。在職中も調整されない年金って?

定年後も働くと年金が受け取れないことも。在職中も調整されない年金って?
定年後に何らかの形で働き続けることは、もはや一般的になりつつあります。
 
一方で、在職老齢年金によって年金が減ることに抵抗を感じ、不本意な働き方を選ぶ人も存在しています。定年後の働き方について、年金とともに考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

定年後の働き方によって年金が減少する理由

定年後、どのように働くことを想定していますか? 多くの方は再雇用や再就職によって働くことを想定しているでしょう。実際にそういった選択をされる方は多いと思います。そこで注意したいのが在職老齢年金の存在です。
 
在職老齢年金について簡単に説明すると、厚生年金に加入しながら働く方が厚生年金を受け取る場合、給与の額と厚生年金の額が一定額を超えると金額によって支給される年金額が減少し、場合によっては厚生年金が全く受け取れないということもあるものです。
 
具体的には、60歳から65歳未満までは厚生年金の額と月額の給与(厳密には標準報酬月額)に直近1年の月額換算した賞与を足した金額が28万円を超えた場合、65歳以降は47万円を超えた場合に厚生年金が減額され始めます。
 
全ての人が必ず在職老齢年金の適用を受けるわけではありませんが、ある程度の給与が見込まれる場合は、まず間違いなく在職老齢年金の適用を受けることになります。
 
ちなみに、在職老齢年金によって減少した分は後から支給が再開されることはなく、受け取れずじまいとなってしまいます。
 

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在職老齢年金は繰り下げ受給にも及ぶ

少し年金に詳しい方であれば「じゃあ働いている間は厚生年金を受け取らず、繰り下げ受給しよう」と考えることでしょう。繰り下げ受給は年金の受給時期が遅れますが、その代わりに繰り下げた月数1月ごとに0.7%増額された金額を将来受け取れるというものです。
 
しかし、繰り下げをしなければ在職老齢年金が適用されて減額されることになる部分については、仮に繰り下げをしたとしても増額されないので注意が必要です。
 

在職老齢年金の適用を受けずに働く方法は無いか?

在職老齢年金は、厚生年金を受け取れる方が厚生年金に加入しながら働く場合に適用されるものです。つまり、厚生年金に加入しなければ、就労して収入があっても在職老齢年金によって厚生年金が減らされることはありません。
 
在職老齢年金の適用を受けずに働くには、厚生年金に加入しないよう労働時間を調整したり、短時間での勤務を複数の勤務先で掛け持ちする、個人事業主やフリーランスとして働くという方法があります。
これらの方法であれば厚生年金に加入せずに、在職老齢年金を気にすることなく働くことができます。
 

在職中も調整されない年金はあるか?

在職老齢年金は厚生年金独自の制度です。そのため、国民年金はもちろんですが、iDeCoや確定拠出年金といった個人年金保険は在職老齢年金によって年金額が減らされたり、年金を受け取れなくなるということはありません。
 
在職老齢年金によって厚生年金の受取額が減少するのが心配というのであれば、これらの在職老齢年金の適用を受けない個人年金に加入しておくのも手です。
 
ただし、個人年金は元本保証されていないものもあり、運用方針や掛け金の拠出状況などによっては元本割れして、計画どおりの年金額とならないこともある点に注意してください。
 

働き方は年金も含めて考える時代に

定年後のライフプランはまさに人それぞれです。自由に趣味を満喫したいという方もいれば、生活や自己実現のために働いたり、趣味と仕事を両立していきたいという人もいるでしょう。将来的にはコロナ禍の影響を引きずり、ローンの返済のためなど、在職老齢年金の適用を受けてでも働くという選択をする人も出てくるかもしれません。
 
いずれにせよ、定年後もサラリーマンとして働き続けるというのであれば、在職老齢年金の仕組みがあることを理解し、年金について考えながら働き方も決めていくということです。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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