更新日: 2021.08.01 iDeCo(確定拠出年金)
老後のお金を準備したい。預貯金とiDeCoで運用した場合、20年でどれくらいの差が出るの?
老後資金を預貯金で貯めた場合と、iDeCoで資産運用して貯めた場合の差を20年という期間で試算し、比較していきます。
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
預貯金とiDeCoについて、まずはざっくりおさらい
預貯金とiDeCoを比較する前に、まずは両者の概要について確認していきます。
預貯金といえば老後資金の王道ともいえるもので、元本割れというリスクを負わず、安全にお金を貯めていけるのが魅力です。さらに、いざというときは引き出して利用できるなど柔軟性も高いです。
ただ、日銀の政策方針が物価上昇を目指していることなどから、預貯金では時間の経過とともに実質的なお金の価値が減少していことになります。例えば、何か身近な物で50年前と2021年現在の物価について考えてみてください。50年前より安い物より、高い物の方が多いでしょう。
対してiDeCo(個人型確定拠出年金)は、国が用意している老後に向けた資産形成制度です。掛け金の拠出時、運用によって得た利益、受取時と3段階で税制優遇が受けられ、運用次第ではインフレリスクにも対応しながら効率よく資産形成を図れることから人気を集めています。
一方で、基本的に一度加入すれば60歳まで掛け金を拠出し続けなければならない点や、途中でお金を引き出せない点、長期的には資金が増えても1年単位など部分部分で見れば資産価値が下落するタイミングがあることは大きなデメリットになります。
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預貯金とiDeCoの運用を比較
それでは、ここから預貯金とiDeCoの運用の差について比較していきましょう。共通の条件は下記のとおりとします。
・20年間、毎月2万円ずつ積み立て
・30歳会社員男性
・年収500万円
・退職金など他に退職所得の対象となる所得の発生は見込まれない
20年間、預貯金で運用するとどうなる?
まずは預貯金で運用した場合の資産額について計算していきます。20年間、毎月2万円ずつ預貯金で貯めていくと、20年後の総額は480万円となります(預貯金分の利息については考慮しないものとする)。
20年間、iDeCoで運用するとどうなる?
続いてiDeCoで運用した場合を計算していきます。条件は下記のとおりです。
・運用利率は年平均3%とする
・三井住友銀行ホームページのシミュレーションで計算
20年間の元本は預貯金と同様の480万円ですが、非課税の運用益が約175万円あり、資産総額は約655万円となります。iDeCoは掛け金が全額所得控除になることから、20年間の所得税と住民税の節税総額も96万円となり、実質的に資産は約751万円に増えたと考えられます。
また、iDeCoは受取時も税制優遇があります。仮に退職金がない会社に勤めており、一時金で一括して受け取ったとすると、全額が退職所得の範囲内として非課税で受け取ることができます。
預貯金とiDeCoでどうして差が出た?
預貯金では480万円、iDeCoでは655万円の資産と96万円の節税、なぜこの差は生まれたのでしょうか。
一番の理由はお金が動いていたか、眠っていたかです。預貯金では基本的にお金が動かず眠ったままです。10年後も20年後も、単純に預金した分だけが積み重なっていくだけで、それ以上増えることもなければ減ることもありません。
iDeCoでは、お金が株式や債券など運用方針に沿って運用されるため、常にお金が資産として動き、結果的に金融市場の動向に合わせてお金が増えて両者の差が広がったというわけです。
いわば、お金の下にお金は集まるということを、投資家でもない個人が小額から実践できるのがiDeCoなのです。また、預貯金には節税効果が一切ないのに対し、iDeCoは税制控除が働く点も大きな差につながります。
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預貯金とiDeCoを比べると、資産形成ではiDeCoが有利
20年間、同じ金額で資産を形成していった場合、節税額においても資産総額においてもiDeCoが断然有利です。しかしながら、iDeCoには元本割れのリスクや原則60歳まで引き出せないというデメリットもあります。
預貯金とiDeCoでの資産形成ですが、少しでも豊かな老後を過ごしたいと備えるのであれば、どちらもバランスよく行うことが大切です。両者の仕組みを理解し、現在と将来のライフプランを考慮して可能な範囲で併用することをおすすめします。
出典
三井住友銀行 メリットを確認!税軽減シミュレーション
執筆者:柘植輝
行政書士