確定拠出年金の受け取りは一括と分割どちらが良いの? それぞれのメリット・デメリット

配信日: 2021.08.02

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確定拠出年金の受け取りは一括と分割どちらが良いの? それぞれのメリット・デメリット
確定拠出年金は、出口戦略こそ重要になります。確定拠出年金は積み立ててきたお金や運用方針が全く同じでも、最後の受け取り方次第で受取額が大きく変わるからです。
 
今回は確定拠出年金の受取方法について検討していきます。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

確定拠出年金の受け取り方には一括と分割がある

確定拠出年金の受け取り方は大きく分けて2つ。一括で全額を受け取るか、それとも、分割して年金形式で定期的に受け取っていくかです。
 

一括で受け取る方法

確定拠出年金は、一括で受け取ると退職金などと合算して退職所得として扱われます。退職所得は退職所得控除という大きな金額の控除がされ、そこに2分の1をかけて算出されるため、税制上、非常に優遇されています。控除額以下であれば、確定拠出年金はまるまる非課税となります。
 

確定拠出年金の加入年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×加入年数
※計算結果が80万円に満たない場合は80万円とする
20年超 800万円+70万円×(加入年数-20)

※国税庁 「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」より筆者作成
 

年金形式で受け取る方法

年金として受け取る場合は国民年金や厚生年金と合算され、公的年金等として課税の対象になります。
 
公的年金等にも税制上の控除があります。65歳以上であれば、公的年金等以外の収入が1000万円以下であり、公的年金等と確定拠出年金を合わせた額が110万円以下の場合、公的年金等の雑所得については税金がかからないことになります。詳細については以下の表をご参照ください。
 

出典:国税庁 「No.1600 公的年金等の課税関係」
 

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実は一括と分割は併用も可能

確定拠出年金は規約次第で、一部だけを一括で受け取り、残りを分割で受け取るということも可能です。ただし、加入している確定拠出年金が企業型である場合は規約により併用が制限されていることもあるため、企業型に加入している方はその点について勤務先に確認が必要です。
 

確定拠出年金を一括で受け取ることのメリットとデメリット

一括で受け取ることの最大のメリットは、退職所得の適用がされることです。例えば20代のころから確定拠出年金に加入していた場合は、税金がほとんどかからないということも十分にあり得ます。
 
しかし、退職所得には確定拠出年金以外に支給される通常の退職金も含まれるため、退職金の支給があると退職所得の控除額を超えてしまい、課税対象となることがあります。
 
また、デメリットとして、一度に大金を手にすると気が大きくなって浪費をしてしまったり、不慣れな投資に手を出して失敗するなど、せっかく受け取ったお金を短期間で失ってしまう恐れもあります。
 

確定拠出年金を年金形式で受け取ることのメリットとデメリット

確定拠出年金を年金形式で受け取ることのメリットは、退職所得控除を残しておける点です。
 
例えば、60歳で会社を退職したのであれば、退職所得控除は会社からの退職金に充て、年金受給までの5年間は公的年金等控除を最大限利用して確定拠出年金を受け取るということができますし、自営業者であれば小規模企業共済の受け取りを退職所得として行い、国民年金では余る公的年金等控除の枠内で毎年少しずつ確定拠出年金を受け取るということができます。
 
一方で、お金が少しずつ支払われる関係上、ローンを一括で返済するというような目的がある場合には不向きです。また、個人型の確定拠出年金の場合、年金形式で受け取っていると毎月の口座管理に関する手数料や、振り込みに関する手数料が発生するというデメリットもあります。
 

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確定拠出年金の受け取り方はケース・バイ・ケースである

確定拠出年金には、一括で受け取る方法と分割で受け取る方法とがあります。基本的には他の所得と合わせて税制上、最も税金が低くなる方法で受け取るのが正解です。しかし、そこだけにとらわれると、かえって扱いが不自由となったり、損をする可能性もあります。
 
確定拠出年金の受取方法については税制面だけでなく、自身の性格やお金の利用目的に応じ、よく考えていきたいところです。
 
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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