更新日: 2021.08.12 その他年金

障害年金ヒント集(17) 「年金請求書作成のコツ」

障害年金ヒント集(17) 「年金請求書作成のコツ」
年金の相談を受けていると、「障害年金をもらいたい。でも、ハードルが高くて……」と悩んでいらっしゃる人がたくさんいることが分かります。確かに、障害年金を受給するには、いくつものハードルがあります。
 
しかし、取り組み方をちょっと変えると、うまくハードルを越えられる場合もあります。悩んでいる人たちへの受給のためのヒント集です。第17回は「年金請求書作成のコツ」です。
和田隆

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

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意外にてこずることがある

障害年金の裁定請求に必要な書類が集まり、「さあ、年金請求書を作成しよう」と張り切って取りかかったのに、意外にてこずることがあります。ここで時間を費やしてしまって請求日が翌月にずれ込んだりすると、受給総額が減ってしまいかねません。そんなことにならないように、あらかじめ、年金請求書の作成方法を知っておきましょう。
 

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請求書の種類は初診日で異なる

障害年金の年金請求書には、「国民年金障害基礎年金」用と「国民年金・厚生年金保険障害給付」用があります。「国民年金障害基礎年金」用は、初診日(障害の原因となった病気やけがの初診日をいう、以下同様)に国民年金の第1号被保険者または第3号被保険者だった場合のほか、20歳前障害の場合、初診日に60歳以上65歳未満で年金に加入していない国内在住者だった場合に用います。
 
「国民年金・厚生年金保険障害給付」用は、初診日に厚生年金保険に加入していた場合に用います。記入する項目は異なりますが、まとめて説明します。作成にてこずるとすれば、きっと、次の項目だろうと思います。
 

恩恵がいろいろ

【1】マイナンバー(個人番号)記入欄
 
マイナンバーを年金請求書に記入することをためらう人がいることでしょう。記入しなくても構いません。ただし、記入すると、恩恵を受けることがあります。主な恩恵は、障害年金の請求時に住民票の写しや所得証明書等を提出しなくてもよい場合がある、障害年金の受給開始後に住所が変わっても日本年金機構に届けなくてよい、などです。
 

記入前に相談を

【2】住所、電話番号、年金振込先口座番号などの記入欄
 
DV(ドメスティックバイオレンス)被害者で加害者と別居している場合は、現在の住所や電話番号、さらに障害年金受給の有無などを加害者に知られたくないことでしょう。このような場合は、年金請求書の記入前に、年金事務所に相談してください。加害者に住所、電話番号、年金受給の有無などを知られないように対処してもらえます。
 

生計維持があるかどうか

【3】配偶者記入欄
 
配偶者とありますが、内縁関係でも構いません。生計維持があるかどうかで判断されます。結婚していない場合、生計維持を証明するには、一定の証明書類を提出する必要がありますので、年金事務所に尋ねて準備しておきましょう。
 

律義に記入する必要はない

【4】履歴記入欄
 
転職回数が多い人には、記入するのが面倒に思われる欄です。しかし、律義に記入する必要はありません。年金事務所で自身の被保険者記録を用紙に印刷してもらい、その用紙を添付すればよいのです。履歴記入欄には「被保険者記録のとおり相違ありません。」と記入し、請求日の日付と署名を添えます。
 

記入方法がちょっと複雑

【5】「障害給付の請求事由」などの記入欄
 
「障害給付の請求事由」で「2 事後重症による請求」を選んだ場合は、理由欄の「3 その他」に理由を書きます。例えば、「障害認定日時点の診断書が取得できないため」などと記入します。「制度を知らなかったため」というのは、さかのぼって障害認定日請求ができる場合があるので、適切ではありません。
 
また、「障害の原因である傷病」は、傷病名を記入する欄が3カ所ありますが、1つの傷病で請求する場合は1カ所だけに記入します。
 
1つの傷病でも、障害認定日と請求日で診断書の傷病名が異なる場合、例えば、障害認定日は「うつ病」、請求日は「双極性障害」の場合は、まとめて「うつ病・双極性障害」と記入します。傷病名を記入する欄を複数使用するのは、「初めて2級(1級)」の請求の場合などです。この場合は、一般的には、複数の種類の診断書が必要になります。
 

認印は必要ない

【6】認印は不要
 
国の行政手続きでの認印廃止方針により、障害年金の裁定請求の際に認印の押印は必要なくなりました。
 
※2021/08/12 記事を一部修正いたしました。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

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