フリーランスや自営業者は、会社員と比べてどれくらい年金が少なくなる? 対処法は?

配信日: 2021.08.26

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フリーランスや自営業者は、会社員と比べてどれくらい年金が少なくなる? 対処法は?
近年の働き方改革で、雇用形態を正社員から業務委託契約に変える企業なども出てきています。また、自身でライフプランを考えてフリーランスになる人もいらっしゃるかと思います。
 
会社員からフリーランスや自営業になった場合、さまざまな面で影響が発生します。本記事では、その中でも年金にフォーカスを当てて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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会社員とフリーランス・自営業者の年金制度の違いは?

日本の公的年金制度は、国内に在住している20歳以上60歳未満の全ての人が何らかの年金制度に強制加入となる「国民皆年金」となっています。まずは、会社員とフリーランス・自営業者が加入する年金について比較します。
 

●フリーランス・自営業者

フリーランス・自営業者の人が加入する年金は、国内在住の20歳以上60歳未満の人が加入を義務付けられている国民年金です。会社員からフリーランス・自営業者となった人は、退職した翌日から14日以内に住所地の市区町村役場で厚生年金から国民年金へ切り替える手続きが必要となります。
 
なお、さまざまな事情で保険料の支払いが困難となった場合、国民年金には保険料の納付免除・猶予制度が用意されています。
 

●会社員

会社員の場合(公務員なども含む)は、厚生年金に加入します。厚生年金は被用者年金というもので、企業などに雇用されている人が加入する制度であり、例えば大学卒業後に就職した場合などは国民年金から厚生年金に切り替わります。
 
厚生年金の加入者は国民年金にも合わせて加入していることとなり、イメージ的には国民年金の上乗せとして厚生年金がある形です。また、公務員は「年金払い退職給付」(退職等年金給付)という、さらに上乗せとなる部分もあります。
 
つまり、会社員とフリーランス・自営業者の年金制度を比較した場合、国民年金+厚生年金が支給されるか、国民年金のみかという差があります。
 

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国民年金と厚生年金の支給額の差は?

では、国民年金と厚生年金の支給額の差はいくらぐらいなのでしょうか?
 
【国民年金】
支給額は保険料の納付済み月数で決まります。加入可能期間である20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)全ての保険料を支払った場合、令和3年4月分からの支給額は満額の月額6万5075円(年額78万900円)となっています。
 
【厚生年金】
こちらは支給額の計算式が、勤務していた期間の給与額によって変動します。
 
そのため、一律いくらというのは確定できませんが、日本年金機構で例示されている夫婦2人分の国民年金を含んだ標準的な年金額が月22万496円(平均的な収入で40年間就業した場合)であることから、国民年金の月額6万5075円×2人分を引くと厚生年金は月額9万346円(年額108万4152円)となり、支給額は月額15万5421円(年額186万5052円)です。
 
条件にもよるため一概には言い切れませんが、国民年金と厚生年金の支給額の差は年間で110万円程度、もしくはそれ以上が目安になるといえます。
 

差を埋めるために利用できる公的制度は?

フリーランス・自営業者となって国民年金に加入した人が、厚生年金との差を埋めるために利用できる公的制度を見てみます。
 

国民年金の付加年金

これは国民年金のみの加入者が利用できる制度で、付加保険料を毎月400円支払うことで年金受給時に200円×付加保険料納付月数分(最大480ヶ月)が支給されます。
 
例えば、フリーランス・自営業者となった人が20年間(240ヶ月)付加保険料を支払ったとします。
 
この場合の支払総額は400円×240ヶ月=9万6000円で、年金受給時から終身で受け取れる付加年金は200円×240ヶ月=年額4万8000円となるため、単純に年金を2年以上受給すれば元が取れる計算になります。
 

国民年金基金

付加年金と同様に、国民年金加入者のみが利用できる制度です。
 
国民年金基金に加入する場合、まず1口目としてA型またはB型と呼ばれる終身年金(基本年金月額1~2万円)を選択し、2口目以降の追加分(確定年金)として65歳から支給開始のI型とII型、60歳から支給開始のIII型~V型(基本年金月額5000円~1万円)を組み合わせて年金額を増加させることができます。
 
掛け金の上限は月額6万8000円となっており、その額は加入時の年齢で決定されるので、加入のタイミングが早い方が年金の上乗せ分を増やせます。
 

個人型確定拠出年金(iDeCo)

こちらは厚生年金の加入者も利用できる制度ですが、国民年金のみの加入者については掛け金の上限額が大きく設定されています。国民年金のみの加入者の上限は月額6万8000円になっていますが、厚生年金の加入者は条件によって1万2000円から2万3000円です。
 
iDeCoは加入者自身が運営管理機関と運用商品を選び、給付金の受給開始まで資産運用を続けます。運用の結果の額を確定年金または一時金、あるいは年金と一時金に配分して受け取ることができます。
 
確定拠出年金という名のとおり、掛け金の支払額=拠出額が確定しており、受取額=受給額は資産運用の成績で変動する(元本以上にも以下にもなる可能性がある)性質のものです。
 

制度を利用する場合の注意点

これら3つの注意点としては、国民年金基金の加入期間は国民年金の付加保険料を納付できない点と、国民年金基金とiDeCoに同時加入する際の掛け金の上限は合計で月額6万8000円となる点です。
 
なお、国民年金の付加保険料を納付している場合、iDeCoの掛け金の上限は月額6万7000円となります。
 

まとめ

以上、フリーランス・自営業者の人と会社員の年金制度の違い、またその差を埋めるための公的制度について簡単に説明しました。すでに会社員からフリーランスや自営業になった人、これから独立などを考えている人の参考になれば幸いです。
 
出典
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 付加年金
全国国民年金基金 国民年金基金とは
iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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