更新日: 2021.08.29 その他年金
毎月いくら年金をもらえたら仕事を辞める? 年金受給額と就業の関係は?
老後の生活費は希望する生活水準などによって異なるため、年金がいくらあれば仕事を辞めても問題ないか、一概にはいえません。
この記事では、老齢に必要なおおよその生活費の金額と、働きながら年金をもらう場合に知っておきたい制度について解説します。ぜひ両方を参考に、老後の資金計画や働き方を具体的に想像してみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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老後の生活費はいくらくらいかかる?
総務省「2020年家計調査年報(家計収支編)」によると、世帯主が60歳以上、世帯人員2人以上の無職世帯では、1ヶ月の平均支出額は26万5890円です。
この結果をもとにするなら、年金収入と貯蓄などを合わせて毎月27万円程度の支出を負担し続けられる目算があれば、仕事を辞めても平均的な生活が送れると考えてよいでしょう。
一方で、公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人でゆとりのある老後生活を送るのに必要と考える金額は平均で月額36.1万円という結果が出ています。
趣味やレジャー、孫への援助などにお金をかけるゆとりのある生活をしたい場合は、さらに9万円から10万円程度を加算した支出を見越して、老後の資金計画を立てる必要があるといえそうです。
さらに、住宅の補修や家財の買い換えなど突発的に大きな出費があることも考えられます。そのため、老後にかかる生活費には十分なゆとりをみて、生涯にかかる費用を試算するとよいでしょう。
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働きながらの年金受給は「在職老齢年金制度」に注意
年金を受給しながら仕事も継続する場合は、「在職老齢年金制度」に注意する必要があります。
《在職老齢年金制度》
70歳未満の人が就職して厚生年金被保険者になった場合に、老齢厚生年金と給与および賞与との合計金額(総報酬月額相当額)に応じて、年金支給が制限または停止される制度です。
総報酬月額相当額が年金支給の制限や停止の基準を超える場合、退職したり報酬が基準内に収まるように調整したりするほうが、その時点でもらえる年金の支給月額は多くなります。
しかし、退職や報酬の調整をすると、給与と年金を合わせた総収入額は減少することに注意が必要です。また、働き続ければ、厚生年金の加入期間が延びるぶん、退職後の年金受給額が増えることも見逃せません。
さらに2022年4月には「在職定時改定」の制度が新設されます。
《在職定時改定》
65歳以上の在職者の厚生年金保険料が、毎年10月の改定時に年金額に反映される制度です。
従来は65歳以上の在職者であっても退職などで厚生年金被保険者の資格を喪失するまで、年金額は改定されませんでした。しかし、在職定時改定制度によって、継続して働く効果が早期に年金額に反映されることになります。
安易に退職などを選択せず、在職老齢年金制度による年金の支給額減と、継続して働くことで増える将来的な年金支給額とを比較して考えることが大切です。
以下の、年齢別の在職老齢年金の計算方法も参考にしてください。
60~65歳未満の場合
在職老齢年金制度を適用した場合の年金支給月額の計算式は、次の5パターンです(金額は令和3年8月時点)。
a…総報酬月額相当額(当該月の標準報酬月額)+(以前1年間の標準賞与額の合計)÷12)
b…基本月額(加給年金額を除く特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額)
(1)aとbの合計が28万円以下※2022年4月以降は47万円以下に緩和⇒全額支給
(2)aが47万円以下でbが28万円以下⇒b-(a+b-28万円)÷2
(3)aが47万円以下でbが28万円超⇒b-a÷2
(4)aが47万円超でbが28万円以下⇒b-{(47万円+b-28万円)÷2+(a-47万円)}
(5)aが47万円超でbが28万円超⇒b-{47万円÷2+(a-47万円)}
65歳以上の場合
在職老齢年金制度を適用した場合の年金支給月額の計算式は、次の2パターンです(金額は令和3年8月時点)
a…総報酬月額相当額
b…基本月額
(1)aとbの合計が47万円以下⇒全額支給
(2)aとbの合計が47万円超⇒b-(a+b-47万円)÷2
必要なお金と年金受給額を比較して働き方を考えましょう
年金をいくらもらえれば仕事をやめると判断できるかは、老後にどのような生活を送りたいか、貯蓄や退職金など年金以外の資金がどのくらいあるかによって異なります。
老後に必用な費用を試算し、働く場合と辞めた場合の年金の月額や賃金・賞与、働き続けることで増える将来の年金額などを比較して、働き方を考えることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員