年の差夫婦は知っておきたい! 「加給年金」ってどんな年金ですか?

配信日: 2021.08.29

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年の差夫婦は知っておきたい! 「加給年金」ってどんな年金ですか?
近年では、フルタイムで共働きする夫婦が増えています。しかし実際には専業主婦やパートで働く妻を、会社員の夫が扶養する世帯も多いのではないでしょうか? 夫に妻が扶養されているケースで、夫の定年や年金が気になり始めたら「年の差」に注意が必要です。
 
夫が65歳になると、60歳未満の妻は扶養から外れることを知っておきましょう。扶養から外れた妻は、どうすればよいのでしょうか? 今回は、年の差夫婦が知っておきたい「加給年金」についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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夫が退職すると妻は国民年金保険料を払う?

夫が退職すると、扶養されていた妻は国民年金保険料を負担することになるので注意してください。
 
ここで会社員の夫が60歳で定年退職したケースを例に、10歳年下の妻が置かれる状況の変化について考えてみましょう。50歳の妻は専業主婦として、会社員の夫によって扶養されていた間、国民年金第3号被保険者に該当します。
 
国民年金の被保険者の種別は、次のとおりです。
 

被保険者の種別 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
職業 自営業者
学生
無職など

※第2号被保険者や第3号被保険者になっていない20歳以上60歳未満の人

会社員
公務員など
専業主婦など

※第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者
※国民年金にのみ加入
※年収130万円未満

加入する年金制度 国民年金のみ 国民年金と厚生年金 国民年金のみ

 
第3号被保険者である期間は、保険料を負担することはありません。夫が加入する年金制度によって代わりに負担してもらえるため、保険料を支払っていなくても「支払ったもの」として取り扱われるのです。
 
しかし、夫が再雇用で働いても厚生年金に加入しなければ、妻は国民年金第1号被保険者に切り替わり、60歳になるまでの10年間は年金保険料の負担が発生します。
 
また夫が会社員として厚生年金に加入して働き続けたとしても、65歳を超えると妻は第1号被保険者へ切り替える必要があるので注意してください。
 
なお妻は、自動的に国民年金第1号保険者に切り替わるわけではありません。住まいのある市町村役場に、自分で届け出る必要があります。

 

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配偶者や子がいるともらえる加給年金とは

厚生年金には、配偶者や子どもがいるともらえる「加給年金」があります。加給年金は、夫が年上で妻が年下、さらに年齢差が大きい夫婦は、ぜひ知っておきたい年金制度です。なお厚生年金加入歴が20年未満の妻が年上の場合には、加給年金は加算されません。
 
加給年金の受給条件は、次のとおりです。
 

・会社員として年上の夫が厚生年金に20年以上加入
・年下の妻は扶養家族歴が長く、厚生年金加入歴が20年未満

 
ここでは、加給年金の基礎知識をご紹介します。

 

加給年金をもらえる対象になる人

加給年金は、夫が65歳からもらえる老齢厚生年金に加算されます。加給年金の対象になる人は、次のとおりです。
 

対象者 年齢制限
生計を維持している配偶者 65歳未満の配偶者
(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)
生計を維持している子 18歳到達年度の末日までの間の子
または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

 
加給年金を支給するためには、被保険者によって生計を維持されているとみなされる必要があります。生計を維持されているとみなされる要件は、次のとおりです。
 

・同居中(別居していても、仕送り、健康保険の扶養親族の事実があれば要件を満たす)
・加給年金額等対象者(配偶者や子)について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること

 

加給年金をもらえる期間とは

加給年金をもらえる期間は、夫が65歳になった翌月から妻が65歳になる月までです。妻が65歳になると、夫が受給していた加給年金額は打ち切られます。

 

加給年金額はいくら?

加算年金額は、次のとおりです。
 

対象者 加給年金額
生計を維持している配偶者 22万4700円
※老齢厚生年金の受給者の生年月日に応じて、
3万3200円~16万5800円が特別加算される
生計を維持している1人目・2人目の子 各22万4700円
生計を維持している3人目以降の子 各7万4900円

(2021年8月時点)
 
夫の生年月日が昭和18年4月2日以後であれば、加給される年金額は10年で約468万円(特別加算額:16万5800円)と計算できます。2021年度の国民年金保険料は、1万6610円(月額)です。
 
したがって、妻は年間で19万9320円を負担する必要がありますが、加給年金があれば、国民年金保険料を納められる計算です。

 

加給年金申請に必要な書類

加給年金は申請しないと受給できません。忘れずに申請して、少しでも受け取れる年金額を増やしましょう。
 
下記の必要書類を、年金事務所あるいは年金相談センターへ提出して、加給年金の受給手続きをしてください。
 

・受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本
・世帯全員の住民票の写し
・加給年金額の対象者(配偶者や子)の所得証明書、非課税証明書のうち、いずれか一つ(加算開始日からみて直近のもの)

 

年の差夫婦は保険料負担を想定し収入源を考えよう

年の差夫婦の場合には、厚生年金の加給年金制度のおかげで、長期にわたって一定額が加算されます。しかし年下配偶者が60歳になるまでは、国民年金保険料を支払うことを考慮することが大切です。
 
加給年金を受給できても、国民年金保険料を負担するため、新たな収入源を考える必要があります。
 
加給年金は申請しないと受け取れないため、忘れずに申請しましょう。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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