更新日: 2021.08.30 厚生年金

厚生年金の支払期間はどれだけ必要? 期間が足りない場合の対処法も紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

厚生年金の支払期間はどれだけ必要? 期間が足りない場合の対処法も紹介
毎月の給与から厚生年金保険料が天引きされているのは知っているけれど、将来の年金額にどのように反映されるのか具体的にはイメージできない、という人も多いでしょう。
 
将来もらえる年金は、厚生年金保険・国民年金保険の支払期間によってもらえるかどうかや、もらえる金額が変化します。
 
この記事では、年金を受給するのに必用な支払期間、納付した期間と年金額の関係、支払期間が足りない場合の対処法をまとめました。ぜひ一読して、年金の対策にお役立てください。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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老齢基礎年金を受給するのに必要な支払期間は?

「老齢基礎年金」とは、国民年金や厚生年金保険などの加入者が受け取る年金で、保険料を支払った期間に応じて年金額が決まります。老齢基礎年金を受け取るためには、以下に挙げる資格期間の合計が10年以上必要です。
 

・国民年金保険料の納付期間
・国民年金保険料の免除、納付猶予を受けた期間
・昭和36年4月以降の厚生年金保険の被保険者・共済組合の組合員であった期間
・厚生年金保険や共済組合などの加入者(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(第3号被保険者)であった期間
・国民年金に任意加入できるが任意加入していなかった期間

 
以前は原則25年以上の資格期間が必要でしたが、平成29年8月1日以降は必要な資格期間が大幅に短縮され、年金を受け取りやすくなりました。
 
ただし、老齢基礎年金の額は保険料の納付期間に応じて算出するため、資格期間が10年あれば満額受け取れるわけではありません。満額(年額78万900円※令和3年時点の金額)を受け取るには20~60歳まで40年間、全ての保険料を納める必要があります。

 

老齢厚生年金を受給するのに必要な支払期間は?

「老齢厚生年金」は、会社勤めをして厚生年金保険に加入していた人が、老齢基礎年金に上乗せするかたちで受給する年金です。加入期間のほか、給与や賞与の額に応じて年金額が決まります。
 
老齢厚生年金を受給するには、老齢基礎年金と同じく、10年以上の資格期間が必要です。加えて、厚生年金保険の加入期間が1ヶ月以上なければ、老齢厚生年金は受給できません。
 
厚生年金保険の加入上限年齢は原則70歳までです。保険料の支払期間が長くなるほど、受け取れる年金の金額も大きくなります。

 

特別支給の老齢厚生年金を受給するのに必要な支払期間は?

「特別支給の老齢厚生年金」とは、老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げにともなう経過措置で、当分のあいだ60~64歳までの人に特別に支給される老齢厚生年金のことです。次の期間に生まれた人を対象としています。
 

・男性:昭和36年4月1日以前
・女性:昭和41年4月1日以前

 
「特別支給の老齢厚生年金」の受給に必用な資格期間は、老齢基礎年金や老齢厚生年金と同じく10年間です。さらに、厚生年金保険および共済組合加入期間が、合わせて1年以上必要となります。

 

支払期間によって受け取れる年金の額はどう変わる?

65歳になったときにもらえる老齢基礎年金は、次の式で計算します。
 

78万900円(満額の金額)×(保険料納付済月数+【保険料全額免除月数×1/2】+【保険料4分の3免除月数×5/8】+【保険料半額免除月数×6/8】+【保険料4分の1免除月数×7/8】)÷480ヶ月(最長加入可能月数)

 
※ただし平成21年3月分までは、全額免除は3分の1、4分の3免除は2分の1、半額免除は3分の2、4分の1免除は6分の5で計算
 
例えば、保険料納付済み期間が35年、平成21年4月以降に全額免除期間が5年ある場合を計算してみましょう。
 
78万900円×(420ヶ月+60ヶ月×1/2)÷480ヶ月=73万2093円
 
満額からは約5万円少なくなる計算です。仮に平成21年4月以降の全額免除期間が10年に延びると数字は以下のように変わります。
 
78万900円×(360ヶ月+120ヶ月×1/2)÷480ヶ月=68万3287円
 
満額と比較すると年金額は10万円程度減少し、全額免除期間が5年の場合と比べても5万円ほど少なくなる計算です。
 
さらに厚生年金保険に加入していた期間がある場合は、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。同じ条件のもとなら、厚生年金保険の加入期間が長いほど、もらえる年金の金額は大きくなります。

 

年金の支払期間が足りない場合の解決方法

公的年金制度には、受給資格期間が足りない人や、できるだけ受給額を満額に近づけたい人のために、国民年金や厚生年金保険に任意加入できる制度があります。
 
国民年金に任意加入できるのは、日本国内在住の60~65歳未満で次の条件を満たす人です。
 

・老齢基礎年金を繰上げ受給していない
 
・20~60歳未満までの保険料の納付月数が480ヶ月未満
 
・厚生年金保険、共済組合などに加入していない
 
・日本国籍を有しない人で、在留資格が「特定活動(医療滞在)」や「特定活動(観光・保養などを目的とする長期滞在)」ではない

 
また、65~70歳未満で年金の受給資格期間10年を満たしていない人も、国民年金に任意加入できます。
 
厚生年金保険の加入者も、70歳で老齢年金の受給資格期間を満たせない場合は、在職中であれば資格期間を満たすまで任意で加入を継続できます(保険料は原則全額負担)。

 

支払期間の条件を満たして厚生年金をしっかりもらいましょう

老後確実に年金を受給するためには、年金受給に必用な資格期間を最低限満たしている必要があります。また、十分な金額の年金を受け取りたいと考えるなら、国民年金や厚生年金の保険料納付済み期間をできるだけ長くすることが大切です。
 
これまでの年金支払期間や今後の支払見込み期間をきちんと把握し、支払期間と受給額の関係などを理解したうえで、できるだけ多く年金をもらうにはどうすればよいかを考えてみましょう。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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