給与額に変動があった場合、厚生年金保険料はいつ変動する?
配信日: 2021.09.14
給与の額が変わると、それがどう保険料へ反映されていくのか、厚生年金保険料と給与の関連について見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金保険料の決まり方
まずは厚生年金の保険料の決まり方から確認していきます。
毎月給与から引かれる厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率(18.3%)をかけた金額になっています。ただし保険料は労使折半であるため、実際に負担するのはそのうちの半分(9.15%)です。
標準報酬月額は、毎年4月から6月の給与(基本給や残業手当、通勤手当など給与として支給されるものの総額)の平均について、一定幅の金額で区分された保険料額表に当てはめて決定します。ここで決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで継続して利用されますが、この仕組みを定時決定といいます。
標準報酬月額は必ずしも給与の額と同一というわけではなく、給与より高いことや低いこともあります。
例えば、令和3年度版の厚生年金保険料額表では、4月から6月の給与の平均が25万円から27万円の間にある方の場合、標準報酬月額は26万円となります。ちなみに標準報酬月額26万円の方の厚生年金保険料は、月額2万3790円です。
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給与に変動があった場合はどうなる?
基本的に厚生年金保険料は1年間変わりません。給与が多少は増えたり減ったりしても、保険料には影響を及ぼさないのです。
しかし、昇給や減給などによって固定給に大幅な変更があったときは、定時改定を待たずに標準報酬月額が改定され、それに従って厚生年金保険料も変わります。この仕組みを随時改定といいます。
下記の全ての要件を満たす合に随時改定が実施されます。
(1)昇給や降給などにより固定的賃金に変動があった
(2)変動があった月から3ヶ月間に支給された給与の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差があった
(3)3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上ある
特に(2)の標準報酬月額に「2等級以上」の差が生じた場合というのがポイントであり、2等級というと給与が10%以上変わることがほとんどで、場合によっては15%近い変化になります。ちょっとした昇給や降給では、随時改定は起こらないものだと考えておいてください。
なお、随時改定の手続きは勤務先が行うため、自身で手続きする必要はありません。給与に大きな変更があったあとで、厚生年金保険料の金額が変わっていれば、「随時改定があったんだな」と思って大丈夫です。
随時改定された標準報酬月額はいつまで適用される?
随時改定によって変更された標準報酬月額は、その決定時期によって適用される期間が変わります。
具体的には、1月から6月までに随時改定で決定された場合は、再度、随時改定が行われない限り、その年の8月まで適用されます。7月以降に随時改定が行われた場合は、翌年の8月までの適用となります。
厚生年金保険料は給与に応じて変化する
厚生年金保険料は、年の途中で標準報酬月額に2等級以上の差が生じるなど、給与に大きな変更があれば随時改定によって変化します。給与の額が変わったとき、厚生年金保険料に変動があってもなくても、随時改定の仕組みさえ知っていれば慌てることはありません。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
執筆者:柘植輝
行政書士