更新日: 2021.09.15 その他年金

「週休3日」になった場合、将来の年金受給額はどれくらい減る?

「週休3日」になった場合、将来の年金受給額はどれくらい減る?
働き方の多様化が進み、週休3日を選択できる企業が出てくるようになりました。週休3日制は生活にゆとりをもたらし、家族のための時間が増えることなどが期待できる一方、給与や年金など金銭面での影響も懸念されています。
 
今回は週休3日という働き方が、将来の年金受給額に与える影響について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

週休3日という働き方

業界や職種によって差はあれど、現在の日本の一般的な働き方では休日は週に2日という場合が多いでしょう。いわゆる週休2日制や完全週休2日制です。
 
週休3日を望むには一般的な正社員という働き方は難しく、子育ての時間や夢の実現などのために週2日を超える休みがほしい場合、選択肢としては会社を辞め、アルバイトなど非正規雇用で働くこともあるかと思います。
 
ところが、最近では働き方の多様化や人材確保という観点から、一部の大手企業を中心に週休3日制を採用するケースも増えています。かつて、週休3日は夢物語のようでもありましたが、現実的な働き方にもなりつつあります。
 

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週休3日の問題点の1つ、年金について

週休3日という働き方を選ぶ場合には、よく考えなければなりません。労働日数や時間という観点では、仕事の量は軽減されるかもしれませんが、他の部分に異なる形で負担がのしかかることがあります。その1つが年金の問題です。
 
会社員が加入する厚生年金の将来の受給額は、上限こそありますが、基本的には支払った保険料に比例して増えていき、その保険料は給与に比例して高くなります。
 
週休3日という働き方を選択すると、多くの場合は労働日数だけでなく労働時間や仕事量が減るため、給与が減ることもあるかと思います。給与が減るということは、支払う厚生年金保険料が減り、結果的に将来受け取る厚生年金が減少するということになるのです。
 

実際にどのくらい年金が減ってしまうのか

仮に平成15年4月以降から40年間就業したとして、下記の計算式で簡単に厚生年金の差について確認してみましょう。
 
平均標準報酬月額×7.31÷1000×480
※報酬比例部分のみの計算として他の要素は考慮しないものとします。
 
まずは日本年金機構が提示する平均的な給与(月額換算43万9000円。ただし便宜上、賞与なしで計算)で就業し続けた場合、将来受け取れる厚生年金の報酬比例部分は下記のようになります。
 
44万円(月給43万9000円の平均標準報酬月額)×7.31÷1000×480=154万3872円
 
続いて、週休2日制から3日制へ移行した場合です。出勤日数がこれまでの5分の4に減ったことで、給与も5分の4になったと仮定すると、厚生年金の報酬比例部分は下記のように減少します。
 
36万円(月給43万9000円を5分の4とした場合の平均標準報酬月額)×7.31÷1000×480=126万3168円
 
両者の差は、なんと年額で約28万円となります。これは簡略化した試算の結果であるため、もちろん正確な数値ではありませんし、実際の厚生年金の年金額は保険料の納付状況など個別の条件によっても大きく変化します。
 
ただ、週3日勤務となって単純に給与が減れば、それに比例して厚生年金の年金額も減るということは覚えておいてください。
 
なお、週休3日によって減る可能性があるのは厚生年金であり、国民年金には影響はありません。
 

週休3日を選択するなら将来の年金も考えること

働き方が変わることで給与が減る場合、それに応じて将来受け取れる厚生年金が少なくなることがあります。週休3日制は、働き方の革新性や柔軟性ばかりに目がいきがちですが、厚生年金の受給額が減少する可能性がある点にも注意して考えたいところです。
 
出典
ユニクロ 週休3日制とは?
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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