共済年金の廃止で公務員の年金はどうなった? 保険料や受給額は?
配信日: 2021.09.16
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
なぜ共済年金は厚生年金に一元化されたのか
共済年金とは、いわゆる公務員向けの年金制度であり、一般的な会社員が加入する厚生年金よりも少ない負担で手厚い給付を受けられる制度でした。
しかし、共済年金は平成27年10月1日をもって厚生年金に一元化されました。その理由については以下のようにいわれています。
●年金財政の範囲を拡大して制度の安定化を図るため
●年金制度の公平性の確保するため
●年金制度の信頼性を高めるため
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一元化でどのような変化があったのか
では、共済年金が厚生年金に一元化されて公務員の年金にどのような変化が起きたのか、注目すべきポイントを見いきましょう。
職域部分の廃止
厚生年金に統一される前は、公務員の年金は1階の国民年金部分、2階の共済年金部分、さらにその上に職域部分がある3階建ての構造になっていました。
2階の共済年金が厚生年金に一元化されて、3階の職域部分は廃止となりましたが、この職域部分の存在は大きく、平均報酬月額36万円、加入期間40年で計算すると、共済年金加入者の方が厚生年金加入者よりも毎月の年金額が2万円近く(1万9625円)も多くなっていました。
共済年金加入者にとっては、職域部分の廃止によって将来の年金額が毎月約2万円減ったことになります。
保険料率の上昇
共済年金の保険料は厚生年金よりも低い保険料率となっており、平成23年には厚生年金の保険料率が16.766%だったのに対し、共済年金は16.216%または13.292%(私学共済)と保険料は割安となっていました。
しかし、一元化によって保険料率は厚生年金と統一されて段階的に引き上げられ、平成30年には現行の厚生年金と同じ18.3%となり、私学教職員についても令和9年(2027年)には統一される予定です。
年齢制限の設定
共済年金は原則として加入者の年齢制限はありませんでしたが、厚生年金と統一されて70歳までとなりました。
遺族年金の転給についての変更
遺族年金について、共済年金では先順位の方が亡くなるなどして遺族年金を受ける権利を失ったとき、一定の要件の下で次順位の方に権利が移動しました(転給)。例えば、被保険者の配偶者が遺族年金の受給中に亡くなった場合、被保険者と配偶者の間に子がいれば、その子に受給権が移るというイメージです。
厚生年金への一元化後は、遺族年金を受けていた方が亡くなって受給権を失権しても、次順位者への転給はなくなりました。
厚生年金との一元化でより公平な年金制度へ
厚生年金に比べて優遇されていた共済年金ですが、厚生年金に統一されたことで、公務員の年金は相対的には従前より保障が薄くなりました。しかし、年金制度としてはより公平に近づき、長く安定した運用に向けて動き出しています。
共済年金と厚生年金の一元化はある意味、年金制度に目を向けるいい機会です。これを機に自身が加入している年金制度の内容を確認し、将来の年金について考えてみるのもいいでしょう。
出典
国家公務員共済組合連合会 平成27年10月から共済年金は厚生年金に統一されます
地方職員共済組合 共済年金は厚生年金に統一されます
執筆者:柘植輝
行政書士