年金の受給権はどのような場合に消滅する? 支給停止との違いは?
配信日: 2021.09.22
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
年金の受給権の消滅って?
年金の受給権には消滅といって、年金を受ける権利を失う事由が定められています。受給権が一度消滅すると、同じ事由に該当した場合は年金を受け取れなくなります。
消滅というと難しく思うかもしれませんが、実際にはそれほど複雑ではありません。全ての年金には支給している理由があります。その理由が解消され、「もう年金を支給する必要はない」と判断されたときに受給権が消滅します。
では、どのような場合に年金の受給権が消滅するのか具体例で確認していきます。
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年金の受給権者が死亡したとき
年金を受け取っている方(年金受給権者)の死亡は、受給権が消滅する代表的な事由になります。亡くなったことにより、金銭面から生活を保障する必要はなくなるためと考えれば理解しやすいでしょう。
ただし、年金の受給権自体は消滅しても、死亡日が属する月分までの未支給年金については一定範囲の遺族に支払われることがあります。
特別支給の老齢厚生年金を受けている方が65歳に達したとき
特別支給の老齢厚生年金は、年金の支給開始年齢が原則60歳から65歳に引き上げられたことによる経過措置として定められた年金です。対象となる受給者が65歳になれば現行のルールに従って年金が受けられるようになるため、特別支給の老齢厚生年金の受給権が消滅します。
遺族年金を受け取っていた方が婚姻や養子縁組したとき
遺族年金は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族の生活を保障する趣旨の年金です。そのため、遺族年金を受けていた方が婚姻したり、直系血族・姻族の方以外の養子となるなど、生活を保障する必要がないと判断されるような場合には受給権が消滅します。
障害年金の受給者が新たな障害年金を受けられるようになったとき
障害年金は障害の程度に応じて支給されますが、受給中に別の傷病で障害が発生し、新たに障害年金の支給事由に該当した場合は全ての障害を合わせて支給の判定がなされます。
それにより受給中の障害年金の受給権は消滅し、新たに認定される障害年金の受給権が与えられることになります。
年金の受給権の消滅と、支給停止の違いは?
年金の受給権の「消滅」と、年金の「支給停止」は言葉の印象としては似ているため、同じようなものかと思われるかもしれません。しかし、両者は厳密には異なります。
消滅はまさに権利がなくなることで、一度消滅すると二度と復活することはなく、同じ理由によって年金を受けることはできなくなるものです。
それに対して年金の支給停止は、その理由が解消されれば支給が再開されるものです。例えば2つ以上の年金を受けられる方が、どれか1つの年金を選択した場合に他方の年金に対して行われるのが支給停止です。
年金の受給権は個別の事情によって消滅することがある
今回紹介したのは年金の受給権が消滅する事由の一部です。このほかにも消滅の事由については、個別の年金制度によって細かく定められています。
近いうちに年金を受け取ることになる、あるいはすでに何らかの年金を受給している場合は、年金の受給権が消滅するケースがあるということも知っておくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士