更新日: 2021.10.25 その他年金

8歳差夫婦の老後の「加給年金」の支給額とは?年齢差が大きいと得なの?

執筆者 : 伊達寿和

8歳差夫婦の老後の「加給年金」の支給額とは?年齢差が大きいと得なの?
公的年金は老後の主な収入ですが、配偶者や子がいる場合には「加給年金」が加算されるケースがあります。今回は、加給年金が受けられる要件や支給される金額、加給年金についての注意点について紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

加給年金とは

加給年金とは、厚生年金に加入していた人が決められた年齢に達したとき、配偶者や子がいる場合に、老齢厚生年金に加算される年金です。加給年金を受けるためにはいくつかの要件があります。
 
加給年金を受けるためには、次の2つの要件が必要です。
 

●厚生年金の被保険者期間が20年以上あること(昭和26年4月1日以前に生まれた人で中高齢の特例を受ける場合は15年~19年)
●65歳または定額部分支給開始年齢に到達した時点で、配偶者または子がいること

 
加給年金の対象となる配偶者や子は生計を維持されていなければなりませんが、原則として次の要件を満たす場合です。
 

●同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族であるなどの事実があれば認められます)。
●加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5000円未満であること。

 
さらに、配偶者や子の年齢制限があります。配偶者は65歳未満であること(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)。子は18歳到達年度の末日までの子、または1級・2級の障害状態にある20歳未満の子です。
 

加給年金の額

それでは、加給年金はいくら受け取ることができるのでしょうか。対象者によって異なりますので、対象者ごとに確認していきます。
 
まず、配偶者の加給年金額は22万4700円です。さらに受給権者の生年月日によって3万3200円から16万5800円の特別加算額があります。例えば、生年月日が昭和18年4月2日以後の場合は16万5800円ですので、配偶者の加給年金額の合計額は39万500円となります。
 
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上など)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止となります。
 
次に、子については、1人目と2人目の子の加給年金額は各22万4700円で、3人目以降の子は各7万4900円となっています。
 
8歳差の夫婦の場合、65歳で老齢厚生年金を受給するとき、配偶者は57歳です。配偶者が65歳になるまでの8年間、要件を満たしていれば、配偶者の加給年金として年額39万500円を受け取ることができます。
 

加給年金の受給には手続きが必要

加給年金は自動的に加算されるものではなく、必要な書類を添えて年金事務所または年金相談センターに申請する必要があります。
 
申請にあたっては、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」に以下の書類を添えて提出します。
 

●受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
●世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)
●加給年金額の対象者(配偶者や子)の所得証明書、非課税証明書のうち、いずれかひとつ

 
また、配偶者が65歳になったり、子が18歳になったりして、加給年金額の対象者でなくなった場合にも手続きが必要です。この手続きをしないと加給年金額の受け取り過ぎとなり、あとで返金することになってしまいますので忘れずに手続きをしましょう。
 
詳しくは、ねんきんダイヤルまたはお近くの年金事務所などに確認してください。
 

配偶者の保険料負担にも注意

年の差がある場合は配偶者の保険料負担にも注意しましょう。
 
会社員や公務員など厚生年金に加入している第2号被保険者で、その第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者を第3号被保険者といいます。第3号被保険者は年金保険料を納める必要がありません。
 
しかし、厚生年金に加入している人が65歳以上になると第2号被保険者ではなくなりますので、配偶者はそれまでの第3号被保険者から第1号被保険者に切り替える必要があります。第1号被保険者は国民年金に加入することになり、国民年金保険料を納めなければなりません。
 
8歳差の夫婦の場合、配偶者は57歳から60歳までの3年間、第1号被保険者として国民年金保険料の負担が増えることになります。加給年金額だけ見ると、年齢差が大きいと合計受給額が増えるのでお得に思えるかもしれませんが、配偶者の保険料負担が発生する点にも注意しましょう。
 
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 加給年金額を受けられるようになったとき
日本年金機構 老齢厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受けることになったとき
日本年金機構 生計維持
日本年金機構 3号被保険者の「配偶者が65歳になったとき」の手続き
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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