更新日: 2021.11.09 その他年金
障害年金のウソ? ホント?(6)「障害年金と老齢年金を両方もらう? 」
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第6回は「障害年金と老齢年金を両方もらう? 」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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「知人に両方をもらっている人がいる」というのだが……
「65歳になると老齢年金が受給できますね。今は障害年金をもらっていますが、金額が少ないので、老齢年金ももらえるようになると助かります」とおっしゃる方がいました。「そうは、なりません」と言うと、その人は「知人に障害年金と老齢年金を両方もらっている人がいます」と不満げでした。
現在、年金の支給事由は「障害」「老齢」「遺族」の3種類です。それぞれに「基礎年金」があり、厚生年金保険や共済年金に加入していたことがある人には「厚生年金」もあります。そして、支給にあたっては、次のルールがあります(旧制度の年金は、今回の説明では省略します)。
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原則は「1人1年金」
【1】原則は「1人1年金」。「障害」「老齢」「遺族」の3種類のうちの1つということです。
【2】支給事由が同じである場合は、基礎年金と厚生年金の両方を受給できます。組み合わせ方は、次の図のとおりです。
筆者作成
65歳未満のときは、選択になる
【3】また、支給事由が異なる年金の権利が複数ある場合は、どれか1つを選択します。次のような場合です。
筆者作成
65歳未満のときは、この【3】のルールが適用されます。
65歳以降は、組み合わせも可能に
【4】65歳以降は、障害基礎年金に限り、別種類の「厚生年金」と組み合わせることができます(ただし、2006年3月以前は除きます)。このため、次の図のように5種類の組み合わせがあります。
筆者作成
先述の人が言われた「知人」がもらっていたのは、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせだったのではないでしょうか。
年金事務所で試算してもらうのが賢明
どんな組み合わせを選択するかは、受給者本人に任されていますので、年金事務所でそれぞれの年金額を試算してもらうのが賢明でしょう。特に、厚生年金基金からの給付がある場合や雇用保険の基本手当との調整がある場合などは、受給額の比較が重要になります。
なお、【3】の場合と【4】の場合に共通していえることですが、障害年金や遺族年金は非課税です。国民健康保険の保険料額などに影響しますので、この点も考慮に入れて判断することが大切です。
両方を全額もらえるわけではない
「障害年金と老齢年金を両方もらう? 」の「ウソ・ホント」の判定は、微妙です。「障害年金と老齢年金を組み合わせてもらえる。両方を全額もらえるわけではない」が正しいといえるでしょう。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士