年金担保貸付事業って何? 利用条件や返済方法って?

配信日: 2021.11.09

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年金担保貸付事業って何? 利用条件や返済方法って?
独立行政法人福祉医療機構による「年金担保貸付事業」という制度があります。この制度は、年金を担保にした融資として、法律で認められたものです。
 
担保となる年金は、厚生年金や基礎(国民)年金です。現在、これらの年金のいずれか、もしくは両方を受け取っている方で、融資資金の使い道が明確な方が一時的な小口資金の借り入れを目的として利用できます。
 
そして、年金から天引きされる形で返済することになります。もう少し詳しく見ていきましょう。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

年金担保貸付の利用の条件

もともと、年金を受け取る権利(年金受給権)を担保にした融資は禁じられていますが、独立行政法人福祉医療機構による年金担保貸付事業は、法律で唯一、年金を担保とした融資制度として認められています。
 
担保となる年金は、厚生年金や基礎(国民)年金ですが、厚生年金基金や国民年金基金、それに企業年金連合会から払われる年金などは対象外です。
 
融資金額は資金使途に沿って異なりますが、金額には条件があります。資金使途とは、保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品などの購入に充当するための支出です。資金の必要性の確認のため、見積書や請求書などの提出が必要です。
 
金額の条件とは、以下の3つがありますが、その中で、最も低い額が上限になります。また、必要額の合計が、上限の額に満たない場合は必要額までの融資になります。

1. 融資できる金額は「10万~200万円の範囲で1万円単位」です。
なお、使い道が生活必需物品の購入の場合は、10万~80万円の範囲内です。
 
2. 条件の2点目は「受給している年金(年額)の0.8倍以内の額」です。
お、年金から源泉徴収されている所得税額に相当する額を除きます。例えば、年金受給額(年額)が96万円の方ですと、融資金額の上限は75万円(1万円単位)です。
 
3. 融資金額の条件の3つ目として、「1回あたりの返済額(年金1回あたりの受給額の3分の1)の15倍以内」です。
これは融資金額の元金を、2年6ヶ月以内で返済することを目安にしています。例えば、年金受給額(年額)が96万円の方ですと、年金1回あたりの受給額は16万円ですので、16万円の3分の1は5万円(1万円未満切り捨て)となり、5万円の15倍ですから75万円です。

年金1回あたりの受給額が96万円の方の、年金担保貸付の上限は75万円となります。
 

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年金担保貸付の返済方法

年金担保の返済方法は、2ヶ月に1回、偶数月に支給される年金から天引きされる形で返済していくことになります。
 
そして、1回あたりの返済額は、制度を利用する人が申し出た金額ですが、下限が1万円、上限が1回あたりの支給額の3分の1以下です。
 

その他の留意点

年金を担保とした貸付ですので、年金証書を提出します。貸付ですから、利息がかかります。利率は2.8%(平成30年10月3日現在)です。
 
また、連帯保証人が必要ですが、連帯保証人に審査があります。また連帯保証人に代えて、公益財団法人年金融資福祉サービス協会の信用保証制度を利用できますが、信用保証制度は保証料がかかります。
 
申し込みは、年金が振り込まれている金融機関で行いますが、ゆうちょ銀行や農協、労働金庫では取り扱っていません。
 
スケジュールの一例は、11月23日~11月30日の申し込みの場合、融資が実行されるのは12月24日です。そして、返済の初回は翌年の2月支給の年金からです。
 

まとめに代えて

一般的に年金担保貸付以外の貸付の返済は基本的に毎月です。一方で年金は2ヶ月に1回の受け取りですが、年金担保貸付は支給される年金から天引きされることによる返済ですから、返済はしやすいといえるでしょう。
 
しかし、当然のことながら、年金の手取り額が減ります。年金担保貸付の利用の前に、返済が始まった場合の、家計のシミュレーションから始めましょう。
 
なお、年金担保貸付の利用の申し込みができるのは、2022年3月末までです。
 
出典
福祉医療機構「年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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