妻が年上・年下によって年金の支給額が違う? 「加給年金」と「振替加算」の違いとは?
配信日: 2021.11.17
妻が年上もしくは年下だと条件がどのように変わってくるのか、本記事をぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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加給年金とは
「加給年金」は、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人で、65歳に到達したときに、その人に生計を維持されている配偶者や子どもがいれば、年金額が加算される制度です。
加給年金の給付有無は、「生計を維持されている」かがポイントです。必ずしも一緒に暮らしている必要はありませんが、扶養親族かどうかなどが確認されます。また、対象者の前年度の収入が850万円未満、所得が655万5000円未満であることも条件として挙げられます。
加給年金の給付条件
加給年金の給付条件は、図表1を参考にしてください。
【図表1】
年齢制限 | 加給年金額 | |
---|---|---|
配偶者 | 65歳未満(※) | 22万4700円/年 |
1・2人目の子ども | 18歳到達年度の末日までの子ども、または1・2級の障害をもつ20歳未満の子ども | 各22万4700円/年 |
3人目以降の子ども | 1・2人目と同じ | 各7万4900円/年 |
(日本年金機構「加給年金額と振替加算」の「加給年金(定額部分が支給されている場合に限ります)」より筆者作成)
※大正15年4月1日以前に生まれた配偶者の人は、年齢制限はありません。
配偶者は65歳未満であることが条件のため、妻が年上で65歳以上であれば加給年金は支給されません。ただし、大正15年4月1日以前に生まれた人であれば、年齢制限はありません。
また、令和3年4月より、配偶者加給年金額の特別加算額として、受給権者の生年月日に応じて3万3200~16万5800円が加算されます。
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振替加算とは
「加給年金」は、配偶者の年齢が65歳未満と定められているため、65歳になれば支給が打ち切られます。このときに、配偶者が老齢基礎年金を受けられる場合は、一定の基準により金額が加算されます。これが「振替加算」です。
では、振替加算の適用条件について見ていきましょう。
振替加算の適用条件
振替加算は、次の条件を満たしている人が対象です。
●大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれている
●配偶者の厚生年金保険の35歳以降の加入期間が、15~19年である
●配偶者が基礎年金のほかに、厚生年金や退職共済年金を受給している場合、加入期間があわせて240ヶ月未満であること
振替加算の額は、政令で加算率が定められており、配偶者の生年月日で金額が変わります。
昭和2年4月1日生まれまでの人が、もっとも高く年額22万4700円です。昭和40年4月2日~昭和41年4月1日生まれまでの人が、もっとも少なく年額1万5055円、昭和41年4月2日以降に生まれた人の加算額は0円です。
配偶者の生年月日が昭和41年4月2日以降であれば、振替加算の対象外になります。
加給年金は年金の繰り下げ受給をすると受け取れない?
年金の繰り下げ受給とは、本来65歳から受け取る年金を、66~70歳まで支給を遅らせて受け取る制度のことです。繰り下げ受給をすれば、請求したときの年齢に応じて、年金額が増額されるメリットがあります。
しかし、繰り下げ受給しても加給年金額(配偶者・子ども)は増額されません。また、繰り下げ待機期間中に、加給年金のみを受け取ることもできません。
年金の繰り下げ受給を希望する人で、加給年金がある人は、その点をしっかりと踏まえたうえで判断しましょう。
加給年金は厚生年金の家族手当のようなもの
加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳になったときに、条件を満たした妻と子どもがいれば支給される家族手当のようなものです。
加給年金の手続きは自分で行う必要があるため、条件に当てはまる可能性がある人は、一度確認してみてください。制度の内容について、より詳しい内容を知りたい人は、日本年金機構に相談してみるのもよいでしょう。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員