ねんきん定期便に「合算対象期間」の記載があると、年金受給額にどんな影響があるの?
配信日: 2021.12.16
今回は、合算対象期間にあたる期間とは何なのか、なぜ導入されたのか、年金受給額にどのような影響があるのかについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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ねんきん定期便で確認できる合算対象期間とは
合算対象期間(カラ期間)とは、次のような人が年金の受給資格取得期間を満たせるように作られた期間です。
●国民年金への加入が「義務」ではなく「任意」だった時代に、国民年金に任意加入しなかった人
●国民年金の被保険者の対象となっていなかった人
ここでは合算対象期間となる主なケースや、合算対象期間が生まれた背景にある年金制度の変遷について見ていきましょう。
合算対象期間となる主なケース
合算対象期間となる主なケースとは、次のとおりです。
●1961年5月1日以降、海外に住んでいた期間
●1991年3月以前に学生だったが、国民年金に任意加入しなかった期間
●1986年3月以前に国民年金に任意加入できたが、主婦であったので任意加入しなかった期間
なお上記の「期間」とは「20歳以上60歳未満の期間」を指します。
国民年金に任意加入したものの保険料が未納となっている期間なども合算対象期間です。
合算対象期間はなぜ導入されたの?
合算対象期間が生まれた背景にあるのが、1961年に「国民皆年金」体制がスタートし施行された国民年金制度です。すでに運用されていた厚生年金保険や共済組合などの加入期間を通算して、年金の受給資格期間を計上することになりました。
ところが本格的な高齢化社会の到来を考慮して1985年に制度が改正され、女性の年金権が確立されるまで専業主婦(夫)などの国民年金への加入は任意だったのです。つまり長らく多くの専業主婦(夫)などは、保険料未納の状態でした。
その結果、保険料未納であることから受給資格期間を満たさないとみなされ、無年金となることを避ける必要性が生じたのです。そこで導入されたのが「合算対象期間」という考え方でした。
なお、年金制度の変遷に伴い任意で加入しなかった場合のほか、制度面の特定の事情で加入しなかった期間も合算対象期間とされています。
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合算対象期間と免除・猶予期間との違い
図表1では、合算対象期間と年金保険料の免除・猶予期間にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
図表1
受給資格期間への算入 | 年金額への反映 | 年金保険料の追納の可否 | |
---|---|---|---|
合算対象期間 | ◯ | × | × |
免除の承認を受けた期間 | ◯ | 減額 | 10年以内 |
猶予の承認を受けた期間 | ◯ | × | 10年以内 |
年金額には反映されませんが、受給資格期間とみなせるのが合算対象期間です。
年金保険料の納付について免除や承認を受けた期間とは異なり、保険料の追納を行って将来に受け取れる年金額を増すことはできません。
合算対象期間が適用されない年金とは?
受給資格期間に算入される合算対象期間の適用を受ける公的年金は、老齢基礎年金や老齢厚生年金のみです。
合算対象期間は、以下の公的年金の受給資格期間には算入されません。
●障害基礎年金
●遺族基礎年金
●旧法の年金
合算対象期間とは、年金制度の変遷や制度面で被保険者の対象でなかったなどの事情で加入しなかった期間のために、当該本人が「老後」に無年金で困る事態を回避する措置だと知っておきましょう。
受給資格期間に含められるが年金額には反映されない
ねんきん定期便に記載されている「合算対象期間」。合算対象期間はカラ期間とも呼ばれており、制度が変遷するはざまで、老後の無年金状態を回避するために導入された期間です。
合算対象期間とみなされる期間は、「老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給資格期間のみ」に算入されます。合算対象期間に記載があると、老齢年金の受給資格期間に算入されますが、年金額には反映されません。
年金保険料納付の免除・承認を受けた期間とは異なり、年金保険料の追納もできません。
出典
日本年金機構 合算対象期間
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員