更新日: 2021.12.27 その他年金

年金受給中だけどまだ働きたい! 年金が減額されない収入は月いくら?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

年金受給中だけどまだ働きたい! 年金が減額されない収入は月いくら?
年金を受給する年齢になったものの、まだまだ働いて収入を得たいと考えている人も多いでしょう。その場合は、在職老齢年金という仕組みにより受け取れる年金額が減ってしまう可能性を視野に入れなくてはなりません。
 
本記事では、年金額を減額されないためには月いくらまでの収入であれば良いかについて解説します。計算方法を知ってシミュレーションすることで、年金額を減額されずに受け取れるでしょう。

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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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年金受給中に働くと年金が減額される理由

 
年金受給中に働いて収入を得ていると「在職老齢年金」によって年金が減額や停止となるケースがあります。在職老齢年金とは、60歳以上65歳未満および65歳以上の人に一定の収入があると受け取る年金が減る・または停止される仕組みです。なお、国民年金には影響ありません。
 
年金は、助け合いによってバランスを保っています。そのため60歳を過ぎても働ける人は、年金を受け取る側ではなく支える側とならなくてはなりません。年金のバランスを保ちたいとの理由から、在職老齢年金という制度ができました。
 

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年金受給中でも年金が減額されない収入

 
年金が減額されない収入は人それぞれ違います。また年齢によっても変わるため、一概に「減額されない収入が月いくらである」とは言い切れません。
 
ここでは基本的な用語や在職老齢年金の計算方法を解説します。自身に当てはめて、減額されない収入を計算しましょう。
 

基本月額と総報酬月額相当額で計算

 
基本月額とは、年金額の年額を12で割った額です。総報酬月額相当額とは、毎月の賃金に1年間の賞与を足して12で割った額を指します。
 
年金が減額・停止される額を知るためには、基本月額と総報酬月額相当額を用いて計算しましょう。
 

60歳以上65歳未満の場合

 
在職老齢年金を計算するためには、自身の年齢を加味しなくてはなりません。まずは、60歳以上65歳未満の人について図表1で見ていきましょう。
 
図表1

支給停止額
基本月額+総報酬月額相当額=28万円以下 全額支給
基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が47万円以下 (総報酬月額相当額+基本月額-28万円) ×1/2×12
基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が47万円以上 {(47万円+基本月額-28万円) ×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)} ×12
基本月額が28万円以上で総報酬月額相当額が47万円以下 総報酬月額相当額 ×1/2×12
基本月額が28万円以上で総報酬月額相当額が47万円以上 {47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12

60歳以上65歳未満の人は、基本月額と総報酬月額相当額が28万円以下の場合であれば年金が全額支給されます。

 

65歳以上

 
自身の年齢が65歳以上の人の在職老齢年金について、図表2を見ていきましょう。
 
図表2

支給停止額
基本月額+総報酬月額相当額=47万円以下 全額支給
基本月額+総報酬月額相当額=47万円以下 (総報酬月額相当額+基本月額-47万円) ×1/2×12

 
65歳以上の場合、基本月額+総報酬月額相当額が47万円以上もしくは以下の2通りです。計算する際はこの金額を超えていないか確認するとよいでしょう。
 

高年齢雇用継続給付を受ける場合

 
高年齢雇用継続給付を受けると、在職老齢年金とは別に年金の一部(上限は標準報酬月額の6%)が支給停止となります。60歳を境に収入が減り、高年齢雇用継続給付を受けている人は気を付けましょう。
 

年金が減額されない収入の計算例

 
在職老齢年金をシミュレーションした計算式をみていきます。目安としながら、自身で計算する際の参考にしてください。

【例1】厚生年金を年額84万円、月収18万円、年間の賞与36万円を受け取っている60歳以上65歳未満の人の場合

基本月額……84万円÷12=7万円
総報酬月額相当額……月収18万円×12ヶ月=年収216万円+賞与36万円=252万円÷12=21万円

基本月額7万円+総報酬月額相当額21万円=28万円となり、年金は減額されないとわかりました。
 

【例2】厚生年金を年額120万円、月収40万円、年間の賞与を120万円受け取っている65歳以上の人の場合

基本月額……120万円÷12=10万円
総報酬月額相当額……月収40万円×12ヶ月=年収480万円+賞与120万円=600万円÷12=50万円

基本月額10万円+総報酬月額相当額50万円=60万円となり、47万円を超えています。「(総報酬月額相当額+基本月額-47万円) ×1/2×12」に当てはめて、支給停止額を以下で計算しました。
 
(総報酬月額相当額50万円+基本月額10万円-47万円)×1/2×12=78万円です。年間で減額される年金額は78万円、月額にすると6万5000円でした。
 

年金が減額されない収入を計算してみよう

 
年金が減額されない収入は、年齢・収入・受け取る年金額により変化します。そのため、「この月収であれば減額されない」とは言い切れません。また2022年4月からは60~65歳未満の人に対し、支給停止とならない範囲が現行の28万円から47万円に緩和されます。
 
年金が減額されない収入を知るためには、本記事で紹介した計算式を用いて自分で算出するだけでなく、法改正により内容が見直されていないか確認しましょう。
 
出典
日本年金機構「在職老齢年金の支給停止の仕組み」
厚生労働省「在職老齢年金の仕組みについて(平成28年度)」
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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