更新日: 2022.01.11 その他年金
障害年金のウソ? ホント?(10)「請求に有利な時期がある? 」
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第10回は「請求に有利な時期がある?」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
できるだけ上位の等級に認定されるには……
障害年金の等級は日本年金機構の審査で決まります。
審査の基準となるのは、厚生労働省作成の「障害認定基準」ですが、内容は「○○の機能に著しい障害を残すもの」「○○障害のため、労働が制限を受けるもの」などの表現が多く、障害年金の請求前にその等級を予測するのは容易ではありません。
そうなると、できるだけ上位の等級に認定されそうな時期の診断書で請求したいものです。次のような時期が考えられます。
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退職後に請求することも考える
【1】就業中より退職後
精神疾患や内部疾患では、就労ができているかどうかが大きな判断基準になることがあります。たとえ症状が同程度でも、病気に耐えながら頑張って働いている時期より病気のためにやむなく退職した後の時期のほうが、外形的には重症に見えがちです。
特に、一般雇用でフルタイム勤務の場合は、上位等級に認定される可能性が低く、こうした勤務形態の時期に請求をするのはあまりお勧めできません。もしも、病気のために1、2ヶ月後に退職するのが決まっているなら、退職後に請求することも考えたほうがよいでしょう。
同様に、求職中の人は、できるだけ就職が決まるまでに請求をするほうがよいでしょう。ただし、障害者雇用枠で求職中の場合は、就職が決まってからでも特に不利にはならないと思います。
症状が重いときに受診するように努めたい
【2】軽快時より重症時
障害年金の請求では、障害認定日から1年以内の請求の場合を除いて、直近の診断書が必要です。「障害年金を請求しよう」と決めたときは、あえて、症状が重いときに受診するように努めたいものです。主治医に少しでも有利な診断書を作成してもらうためです。
特に症状に波がある場合は、大切なことです。もちろん、症状が重いときに通院するのは簡単ではありませんが。
「3ヶ月の幅」を生かす
【3】診断書の「3ヶ月の幅」を生かす
上記の「軽快時より重症時」は、過去の診断書を作成してもらう場合でも同じことです。障害年金の請求では、障害認定日請求の場合は、障害認定日から3ヶ月以内(20歳前障害の場合は前後3ヶ月以内)の症状が書かれた診断書が求められます。
仮に毎月1回、診察を受けていたなら、当該期間に診察を3回受けていたことになります。主治医には、この3回のうち最も重症の時期の診断書を作成してもらえばよいわけです。特に、症状に波がある病気の場合は、3回の症状をじっくり比べて判断してもらうことが大切です。
注意をしなければならないことがある
以上のように、請求に有利な時期を探してみましたが、注意をしなければならないことがあります。次の3点です。
▽障害認定日請求は1年以内だと、診断書が1枚で済む
「障害認定日からもうすぐ1年なる」という場合は、請求を急ぎ、1年経過前に請求をするようにします。1年を経過すると、直近の診断書も必要になるからです。診断書代も軽視できません。
事後重症請求には期限があることも
▽事後重症請求は65歳までに
障害年金の請求は、65歳以降(言い換えれば、65歳の誕生日の前日以降)は事後重症請求ができません。
仮に50歳の時に腎臓病の初診日があり、60歳で人工透析を始めた人の場合、65歳になるまでに事後重症請求をすれば、一般的には2級以上の障害年金を受給できるでしょう。
しかし、65歳以降に事後重症請求をしようとしても、受け付けてもらえません。なお、障害認定日請求は、65歳以降でもできます。
▽余命宣告を受けている場合は急ぐ
事後重症請求は、請求人が存命中に行う必要があります。たとえ、受給期間が短くても、遺族年金の受給権に結び付く可能性もあります。「請求に有利な時期がある? 」の「ウソ・ホント」は「ホント」と言えるでしょう。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士