団塊世代が後期高齢者になり始める2022年。現在年金を支える30~40代は将来ちゃんと年金がもらえるの?
配信日: 2022.01.20
さて、ここで問題を自分ごとにしてみます。
そうして高齢者を支える働き手のみなさんは、自分たちが年金を受け取る番になったらちゃんと年金を65歳から受け取れるのでしょうか? もちろん受け取れるはずですよね。そういう約束のもと、毎月給与からけっこうなお金が差し引かれているはすです。
ところが気になる話があります。現在高齢者が受け取っている年金と、今の30~40代の人が受け取る年金には格差が生まれるのではないかという説です。
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
35歳の人は受取金額がマイナス?
公益財団法人中部圏社会経済研究所研究部長 島澤輸(しまさわ まなぶ)氏は著書『年金「最終警告」』(講談社2019年)の中で次のように述べています。※2
(引用)例えば、1928年生まれで20歳手前で終戦を迎えた90歳と1998年のバブル崩壊後に生まれた20歳との間では、2800万円、2.4倍もの格差があります(引用ここまで)
そんなに格差があるのでしょうか……。では、35歳の人と75歳の人はどれほど格差があるのでしょうか。島澤氏は、同書で各世代の年金受取額を試算し、図表で示しています。
■75歳(2018年現在)の人が払った年金額はトータル1632万円。もらえる年金額はトータル3873万円。差し引き2241万円のプラス。
■35歳(2018年現在)の人が払った年金額はトータル2397万円。もらえる年金額はトータル2179万円。差し引き219万円のマイナス。(同書図表より引用)
この本が書かれてから3年ほど経っていますので多少変化はあるでしょうが、マイナスがプラスになるような大きな変化はないと思われます。現在35歳の人はちょっと面白くないのではないでしょうか。支払った分がもらえないというのは承服しがたいと思います。
筆者はこの島澤氏の試算は体感的に理解できます。高齢者が増えて、働き手が減っていくのだから、この数字におどろきはありません。
しかし一方的に年金の不安をあおるつもりはありません。政府はどう考えているのか? 厚生労働省のサイトの「世代間格差の正体~若者って本当に損なの?」を見てみます。※3
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厚労省は損得を論じる性質のものではないと主張
厚生労働省のサイト、「世代間格差の正体~若者って本当に損なの?」ではマンガと解説で年金の意義が説明されています。こちらのサイトでは「年金格差」に対して次のように述べられています。※3
(引用)いま、若い方々を中心に、公的年金に対して「自分たちの世代では、払った保険料が戻ってこない(受け取れる年金額<払った保険料)のでは?」という、損得に関する意見が聞かれます。
また、「今の受給者と現役世代では、給付される年金額に大きな差がある」という、世代間の差についての意見もあります。
これらの意見の中には誤解もありますが、そもそも公的年金制度は、現役世代が受給世代を扶養する「世代間扶養」の仕組みのもとで運営されている、社会保障制度です。本来、個人や世代の差による損得を論じる性質のものではありません。(引用ここまで)
筆者の見方ですが、この厚生労働省の意見は、最後「年金は個人や世代の差による損得を論じるものではない」。つまり、格差はあるけれど、それは論じるものではないと言っているように読めます。
しかし現在、30~40代の働き手世代はそう言われて納得できますか? 筆者は何にしろ「自分の身は自分で守らなければいけない」と考えて、会社に依存せず(やめることではない)、副業で力を付けていこうと啓蒙している人間です。政府の制度に依存せず(信用しないと言うことではない)、生きていく力をそれぞれがたくわえていくべきだと考えています。
まとめ
現在、30~40代の人は払った分の年金がもらえるかどうかはかなり怪しいです。納得できないならもっと政治に働きかけ、政策に影響をおよぼすか、自分の将来のために、収入の選択肢を増やして、副業などで自分の身を守ることを考えたほうがいいのではないでしょうか。
※1「これからの日本のために財政を考える」(財務省)
※2『年金「最終警告」』(島澤輸・講談社)
※3世代間格差の正体~若者って本当に損なの?(厚生労働省)
執筆者:藤木俊明
副業評論家