定年延長で65歳以降も働き続けたい……。年金にはどんな影響がある?

配信日: 2022.01.27

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定年延長で65歳以降も働き続けたい……。年金にはどんな影響がある?
健康寿命が上昇し、高齢でも元気に働ける人が多くなっている今、65歳を超えても働きたいという人は増えているでしょう。
 
しかし一方で、働くことで長年納めた年金保険料が無駄になるような事態は避けたいと考える人も多いのではないでしょうか。
 
65歳を超えて働くと、収入額などによっては、就業期間中の年金額が下がる可能性があります。しかし一方で、65歳以降も厚生年金保険に加入することで、退職後の年金額を増やすこともできます。
 
ここでは、65歳以降に働く場合に知っておきたい年金関連の制度や、65歳以降も働いた場合の年金額について解説します。ぜひ参考に、老後の働き方を検討してください。
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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65歳以降も働くときに知っておきたい老齢年金関係の3つの制度

65歳以上の人が働くときに気にかけたいのが、働くことで受給できる老齢年金の額がどう変わるかです。年金を受給しながら働くときには、次の2つの制度について考慮しましょう。


・在職老齢年金制度
・在職定時改定

また、働いて得る収入で家計をまかなえる見通しがある場合は、老齢年金の「繰り下げ受給」も視野に入れるとよいでしょう。以下で、3つの制度についてそれぞれ説明します。
 

在職老齢年金制度

在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金と働いて得た収入の額が一定を超えると、老齢厚生年金が一部または全額支給停止となる制度です。厚生年金保険に加入して働く70歳未満の人や、厚生年金保険の適用事業所に勤める70歳以上の人に適用されます。
 
年金が支給停止となる基準額は、65歳未満と65歳以上で以下のように異なります。
 
■65歳未満
年金を全額受給できるのは、老齢厚生年金の基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計が28万円以下(※3)までです。28万円を超えると、老齢年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて、段階的に年金が支給停止されます。
 
※1 年金支給額(年額)を12で割った額。
※2 賃金(標準報酬月額)+年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。
※3 令和4年4月以降は47万円以下に緩和されます。
 
■65歳以上
年金を全額受給できるのは、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下までです。47万円を超えると、老齢年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じた金額が支給停止となります。
 

在職定時改定

在職定時改定は、老齢厚生年金を受給しながら働く65歳以上の人の年金額が毎年10月に改定される制度です。令和2年に新設され、令和4年4月より適用されます。
 
これまでは、年金を受給しながら納めた厚生年金保険料は、退職などで厚生年金保険の資格を喪失するまでは年金額に反映されませんでした。
 
この度の在職定時改定の適用により、厚生年金保険の資格喪失を待たずに納めた保険料が年金額に反映されるようになり、在職中でも年金額が上がることとなります。
 

繰り下げ受給

繰り下げ受給とは、老齢年金を66~70歳(令和4年4月以降は75歳)までの期間に繰り下げて受給開始できる制度です。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ繰り下げる月数を選択できます。
 
繰り下げ受給を選択すると、年金額に繰り下げた月数×0.7%(最大42%(令和4年4月以降は最大84%))の割合が加算されます。
 

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65歳以降も働くと定年後にもらえる年金額はどう変わるか

国民年金の加入可能期間は原則60歳までですが、厚生年金保険には原則として70歳まで加入が可能です。そのため、65歳以降も厚生年金保険に加入して働くと、老齢厚生年金の受給額が上がります。
 
65歳到達時に退職した場合と70歳到達時に退職した場合では、厚生年金保険の被保険者期間の差は60ヶ月です。65歳以降も働いて厚生年金保険料を納めることで、最大60ヶ月分の保険料が老齢厚生年金の額に反映されます。
 
例えば平成元年生まれで平均年収600万円の場合、70歳到達時に退職するほうが、65歳で退職するのと比べて、老齢厚生年金が年額16万円以上多くなる可能性があります。
 
※報酬比例年金額のみの試算。賞与、再評価率は考慮していません。
 

65歳以上も働くと基本的には年金が増える

65歳以降も厚生年金保険に加入しながら働くと、年金額や収入額によっては、働いている間の年金がカットされる可能性があります。しかし、65歳以降に納めた厚生年金保険料も年金額に反映されるため、退職後に受給できる年金額は、働かなかった場合と比べて多くなるでしょう。
 
また、65歳以降も働いて収入を得ることで、年金の繰り下げ受給を選択しやすくなります。繰り下げ受給すると年金額は最大42%上乗せされるため、トータルで考えると得になる可能性は高いと言えます。
 
出典
日本年金機構 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢厚生年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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