iDeCoを解約したいのですが、どんな手続きが必要ですか? 気をつけることは?
配信日: 2022.02.02 更新日: 2022.06.01
もし、iDeCoを解約したいというときには、どのような手続きが必要になるのでしょうか? また、どのような点に気をつけていくべきか解説します。
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執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
iDeCoは原則、解約できない
iDeCoはあくまでも老後資金を上乗せするためのものです。そのため、原則として60歳までは受け取ることはできません。
とはいえ、それは「原則のルール」です。iDeCoは、加入者等が一定以上の障害状態になった場合や加入者等が死亡したときには、たとえ60歳になる前であっても、障害給付金や死亡一時金を受給できます。
このことから分かるように、単純に引き出しをしたいというときではなく、やむにやまれぬ事情があるときのみ、例外として認められることになっています。
iDeCoは節税効果ばかりが独り歩きしており、積み立てている今現在の生活状況や余裕資金の有無などが反映されることはありません。拠出金を決めるときには、生活に支障のない範囲で拠出することが大切です。
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解約可能な例外のパターンは3つ
iDeCoを解約できるのは、(1)脱退一時金が受け取れるパターン、(2)障害給付金が受給できるパターン、(3)死亡一時金を受け取れるパターン、の3つが主な理由です。
(1)脱退一時金が受け取れるパターン
1.国民年金の第1号被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除または一部免除、もしくは納付猶予を受けている方
2.確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
3.通算拠出期間が5年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること
4.最後に企業型確定拠出年金または個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失した日から2年以内であること
5.企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
上記の5つのすべてを満たしていることが条件です。また、1の要件は国民年金の加入資格がなくなった場合は、これに該当しません。
(2)障害給付金が受給できるパターン
障害給付金は、加入者が70歳になる前に、国民年金法で定める障害の状態になったときに受け取ることができます。
この障害の状態は高度障害者で、障害基礎年金の年金証書等を所持している人です。または身体障害者手帳の1級から3級所持している、重度の療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の1級または2級を所持している人となります。
障害給付金は、事故にあってけがをしたり、重大な病気になったりしても受け取れないことがあります。とはいえ、上記に該当すれば受け取ることはできます。つまり、けがや病気で障害者手帳を所持していれば、60歳を待たずに、受け取ることが可能になっています。
(3)死亡一時金を受け取れるパターン
iDeCoに加入者していた人が死亡したときには、遺族に死亡一時金が支給されることになっています。受け取るときには、遺族が運営管理機関に請求することが必要です。また、加入者本人が、亡くなる前に運営管理機関に対して受取人を指定しておくことも可能です。
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iDeCoの掛け金が難しくなったら減額、もしくは停止にする
iDeCoは3つのパターン以外では解約することができない運用方法です。そのため、掛け金は慎重に決定する必要があります。ただ、生活が予定したものと変わってしまったり、急な物入りがあり掛け金の捻出が厳しくなったりすることもあるでしょう。
iDeCoは自由に出金はできませんが、掛け金を減額することはできます。拠出額減額手続きは、加入している金融機関宛てに「加入者掛金額変更届」を提出すれば手続きができます。また、「加入者掛金額変更届」はiDeCo公式サイトからダウンロードできます。ただし、拠出額の変更は年に1回のみです。新たな掛け金は、慎重に決めるようにしてください。
iDeCoを続けるのが難しいときには、毎月の拠出を停止することが可能です。手続き方法はとてもシンプル。加入している金融機関宛てに「加入者資格喪失届」を提出すれば完了します。減額するときと同じように「加入者資格喪失届」もiDeCo公式サイトからダウンロードできます。また、再度、拠出したくなったときには、加入している金融機関に再度「個人型年金加入申出書」等の提出をすれば、いつでもiDeCoを再開できます。
iDeCoは途中で任意に引き出しはできませんが、いくつかのケースに当てはまる場合には、一時給付を受け取ることができますし、拠出が難しければ減額・停止することも可能です。一度決めたことを継続することは大切ですが、万一のときにはフレキシブルに対応できる運用方法でもあるのです。
出典
iDeCo公式サイト「加入者の方へ/年金資金の受け取り(給付)について」
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト