年金を63歳で受け取るのと65歳で受け取るのでは、年間どのくらいの差が生まれるの?

配信日: 2022.02.16

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年金を63歳で受け取るのと65歳で受け取るのでは、年間どのくらいの差が生まれるの?
年金は原則65歳からの受け取りとなっているところ、繰り上げ請求をすることで最短60歳から受け取れます。ただ、年金を早期に受け取るとその期間に応じて受け取る年金が少なくなります。
 
では、仮に65歳よりも少し早く63歳から年金を受け取り始めた場合、年金額はどれくらい減るのでしょうか。その差についてみていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金の繰り上げでどれくらいの金額が減る?

年金は1ヶ月繰り上げて受給するごとに、0.5%減少した金額を将来にわたって受け取っていくことになります。
 
年金を通常より2年間前倒して63歳で受給したとすると、減少分は2年間で12%となり、本来受け取れるはずだった年金の額の88%を将来にわたって受け取っていくことになるのです。これを令和3年度の年金額に当てはめて計算してみましょう。
 
国民年金は令和3年度において満額で年間78万900円です。これを2年間繰り上げ受給して63歳から受け取ったとすると、受け取れる金額は68万7192円と、年間で受け取れる金額が9万3708円も減少します。
 
厚生年金の場合(平均的な収入で40年間就業したと仮定)、年間で186万5052円となるところ、2年間繰り上げた場合に受け取れる年金は164万1246円と、22万3806円も減少するのです。
 
仮に20年間年金を受け取り続けた場合、減少額の総額は国民年金では187万4160円、厚生年金では447万6120円となり、人によってはこの減少額が大きな金額に感じることでしょう。
 

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減少率は2022年4月から小さくなる

現在のところ、繰り上げた場合の年金は1ヶ月ごとに0.5%減少することとなっていますが、この数値は令和4年4月からは0.4%と0.1%小さくなります。
 
すると、63歳まで繰り上げた場合の減少率12%だったものが、9.6%にとどまります。金額に換算すると、国民年金の場合は70万5934円、満額と比較した場合の年間での減少額は7万4966円にとどまります。
 
厚生年金の場合は(平均的な収入で40年間就業したと仮定)、168万6007円となり、満額と比較した場合の減少額は17万9045円にとどまります。
 
このように、繰り上げ受給をする場合は減少率が現行の0.5%から0.4%となる令和4年4月以降がよいことが分かります。
 

年金を63歳から受け取るのは損?

年金を63歳から受け取ると、年金が減ってしまって損なのではと思う方もいらっしゃるでしょうが、場合によっては得となることもあります。
 
それは、年金を受け取る方が早期に亡くなってしまった場合です。
 
極端な話、65歳から年金を受け取ろうと考えていた方が65歳になる前、例えば64歳で亡くなってしまえば受け取る年金は0円です。しかし、63歳から受け取っていれば、1年間で国民年金が68万7192円ほど受け取れることになります。
 
また、年金の減少を避けるために少ない収入や貯蓄で無理な生活をしてしまい、病気やケガとなってしまうと、場合によっては医療費などで年金の減少額分以上の出費が生じてしまう恐れもあります。
 

63歳から受け取ると年金が12%減少する

年金は63歳から受け取ると、65歳から受け取る場合に比べ国民年金、厚生年金ともに12%受け取る金額が減少します。そのため基本的には65歳から受け取る方が良いでしょう。
 
ただ、この減少率は2022年4月以降、63歳から受け取っても9.6%まで小さくなります。また、年金の受け取りは生活苦に陥りそうであるなど、状況次第で減少を覚悟してでも繰り上げ受給した方が良いこともあります。
 
年金の繰り上げについて考える場合は単に減少率だけを見るのではなく、お金を必要とする理由なども含め、総合的に加味して考えるようにしてください。
 
出典
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢厚生年金の繰上げ受給
日本年金機構 老齢基礎年金の繰上げ受給
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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