更新日: 2022.02.17 年金

年金の受給開始を70歳にしたとき、遅らせた5年分は何歳で取り戻せる?

年金の受給開始を70歳にしたとき、遅らせた5年分は何歳で取り戻せる?
年金を70歳まで繰り下げれば年金額が42%も増額されることを知って、繰下げ受給に魅力を感じている人は多いでしょう。繰下げ受給で得をするには、遅らせた年数で本来もらうはずだった年金額を、増額部分の累計額が上回る必要があります。
 
そこでここでは、受給開始タイミングごとの増額率や、受給を遅らせた分を取り戻せるまでの年数、70歳まで繰り下げるときの注意点を解説します。ぜひ参考にして、年金受給のタイミングをよく検討しましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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年金の繰り下げ時期ごとの増額率

 
年金の繰下げ受給とは、本来65歳で受給が開始する老齢年金を、受給開始年齢を繰り下げて受給できる制度です。
 
現行の制度では、最大70歳まで受給開始年齢を繰り下げられます。(2022年4月以降は、選択できる受給開始年齢が75歳まで拡大されます)
 
繰下げ受給を選択した場合、受給を開始するタイミングに応じて、65歳時点の年金額に繰り下げ月数×0.7%を加算した金額が支給されます。受給開始時期ごとの増額率は、図表1のとおりです。
 
図表1

受給開始時期 増額率
66歳0ヶ月~66歳11ヶ月 8.4~16.1%
67歳0ヶ月~67歳11ヶ月 16.8~24.5%
68歳0ヶ月~68歳11ヶ月 25.2~32.9%
69歳0ヶ月~69歳11ヶ月 33.6~41.3%
70歳0ヶ月~70歳11ヶ月 42.0~49.7%
71歳0ヶ月~71歳11ヶ月 50.4~58.1%
72歳0ヶ月~72歳11ヶ月 58.8~66.5%
73歳0ヶ月~73歳11ヶ月 67.2~74.9%
74歳0ヶ月~74歳11ヶ月 75.6~83.3%
75歳0ヶ月~ 84.0%

※70歳1ヶ月以降は2022年4月以降に適用される増額率です。
 
繰下げ受給を選択すると、ずっと増額された年金を受け取れます。受給開始時に決まった年金額は、一生変わりません。
 
なお、老齢厚生年金の受給資格がある人は、老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給開始をそれぞれ別のタイミングに繰り下げできます。
 

【受給開始年齢別】繰下げ受給で遅らせた分を取り返せる年齢

 
66歳から70歳までに受給開始を繰り下げた場合に、遅らせた期間の分の年金は何歳で取り戻せるかを計算してみましょう。
 
例えば、65歳時点の年金額が年額200万円の人がすべてを70歳から繰下げ受給したケースでは、各年齢になった時点の年金累計額は図表2のようになります。
 
図表2

年齢 65歳から年金を受給した場合の年金累計額 70歳から年金を受給した場合の年金累計額
71歳 1200万円 284万円
72歳 1400万円 568万円
73歳 1600万円 852万円
74歳 1800万円 1136万円
75歳 2000万円 1420万円
76歳 2200万円 1704万円
77歳 2400万円 1988万円
78歳 2600万円 2272万円
79歳 2800万円 2556万円
80歳 3000万円 2840万円
81歳 3200万円 3124万円
82歳 3400万円 3408万円

※年金から引かれる社会保険料や税金は考慮していません。
 
70歳から繰下げ受給した場合、増額率が42%なので、年金の年額は284万円です。65歳で受給開始した場合と累計受給額を比較すると、82歳になる前に逆転することが分かります。
 
なお、同じように計算すると、どの年齢に繰り下げて受給を開始した場合も、受給開始から11年11ヶ月目あたりで遅らせた分を取り戻せる結果となります。
 

70歳まで受給開始を繰り下げるときの注意点

 
老齢年金の受給開始を70歳まで繰り下げる場合、次の点に注意しましょう。

●82歳まで存命していないと損をする
●年金から引かれる社会保険料や税金が増えることがある

70歳から受給を開始した場合、遅らせた5年分を取り戻せるのは82歳ごろです。82歳は男性の平均寿命を超える高齢であり、到達する前に亡くなってしまう可能性もあるでしょう。
 
70歳まで受給開始を引き下げる際は、トータルの損得はあまり気にせず、その時々に使えるお金を増やす手段として考えたほうがよいかもしれません。
 
また、年金が増額されると年金から引かれる介護保険料や国民健康保険料、住民税などの金額が上がることが考えられます。そのため、実際の手取り額の増額率が42%に届かないケースもあることを頭に置いておきましょう。
 

繰下げ受給は約12年受給すると得になる

 
繰下げ受給を選択すると、受給開始から12年目以降に、受給累計額が本来の年金額を上回ります。
 
しかし、70歳に受給開始しても82歳まで健康に生きるのは難しい場合も多いため、必ず遅らせた分を取り戻せるとは限りません。
 
また、年金の増額によって社会保険料や住民税の金額が上がれば、本来の年金額を上回る年齢はもっと高くなる可能性もあります。
 
自身の健康状態などを考慮して選べるよう、70歳より早い時点での受給開始も選択肢に入れておきましょう。
 
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢厚生年金の繰下げ受給
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
日本年金機構 年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を天引きされるのはどのような人ですか。
新潟市 国民健康保険料の計算例(年金受給者の場合)
国税庁 高齢者と税(年金と税)
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況より「1 主な年齢の平均余命」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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