更新日: 2022.02.20 その他年金

離婚時に年金分割した妻は、再婚したら年金はもらえなくなるの?

離婚時に年金分割した妻は、再婚したら年金はもらえなくなるの?
離婚後に元配偶者の年金の一部を受け取ることができる年金分割は、ぜひ知っておきたい制度です。
 
こちらの記事では、年金分割とはどのような制度か、年金分割を受けた後に再婚したら年金の扱いがどうなるのかを見ていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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年金分割とは

年金分割は平成16年に導入された制度で、話し合いや裁判などで分割請求をすることにより、離婚後に配偶者が納付してきた年金保険料によって受け取れる老齢年金の一部を分割してもらうという内容です。
 
この制度を利用するには、離婚した日の翌日から2年以内、あるいは離婚成立後に元配偶者が亡くなってから1ヶ月以内に請求しなければなりません。
 
また、分割請求できるのは自分より高額の年金保険料を納めている配偶者の老齢厚生年金に対してのみで、確定拠出年金や国民年金基金、老齢基礎年金は対象外です。
 
年金分割の手続きをしても、納付保険料や婚姻期間に応じて分割されるため、数千円~3万円程度の増額にしかならないことがほとんどです。
 
とはいえ、生涯受け取ることができるので重要な資金源と言えるでしょう。単純に配偶者の年金額の半分を受け取ることができるわけではないため、具体的な金額は年金事務所で確認する必要があります。
 

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離婚後に再婚した場合の取り扱い

離婚した時に権利が発生する年金分割は、受け取る側が再婚した時にどうなるのでしょうか。
 
そもそも、年金分割は婚姻期間中の年金保険料を納付していた実績の分割ということになりますので、その後再婚した場合でも問題なく受け取ることができます。年金分割で受け取れる年金受給額は婚姻期間中の実績によるものであり、その後の年金保険料の納付や婚姻状態には一切影響を受けません。
 
例えば、妻が夫から年金分割をしてもらった場合、離婚後に妻が再婚しても分割した年金を受け取ることが可能ですし、元夫が再婚した場合も同様です。また、元夫が死亡した場合でも分割を受けた部分については元妻が生きている限り受け取ることができます。
 
なお、年金分割をすると、婚姻期間中の実績が元配偶者に一部引き継がれますので、上記のケースで元妻が先に死亡した場合でも、元夫に分割された実績が戻ってくるわけではありません。
 
元夫からすればメリットがない制度なのでもめることもありますが、話し合いで解決しない場合は裁判所で判断を仰ぐことになります。
 

年金分割制度を利用するには

まずは年金分割に必要な情報通知書を日本年金機構から取り寄せて、案分割合を決める必要があります。年金分割には二通りの方法があり、一つは合意分割と言って、平成19年4月1日以降に離婚した当事者同士が話し合いや裁判を経て割合を決定する方法です。
 
特にもめることなく案分割合が決まった場合には裁判の必要はありませんが、話し合いで合意が得られなかった場合には家庭裁判所で審判または調停の申し立てをしなければなりません。案分割合が決定したら、年金事務所に年金分割の請求を行い、標準報酬改定通知書を受け取るという流れになります。
 
もう一つは3号分割といって、厚生年金被保険者の扶養に入っていた専業主婦(夫)(3号被保険者)に婚姻期間中の厚生年金記録の2分の1ずつを分割する制度です。
 
こちらはすでに割合が婚姻期間中の年金記録の半分と決まっているため合意は必要なく、年金事務所に年金分割の請求をするだけで手続きが終了します。ただし、離婚後は扶養から外れるため、59歳11ヶ月になるまで国民年金保険料を納付しなければならない点には注意しましょう。
 

年金分割は早めの手続きがおすすめ

このように、年金分割は期限が短く所定の手続きをしなければ利用できない制度ですが、離婚後に覆される心配がないのでぜひ活用したいところです。
 
離婚後に元配偶者に手続きの協力を依頼することは難しいので、離婚の話し合いをしているときに並行して手続きを進めた方がよいでしょう。話し合いでまとまらないときは、弁護士に相談して訴訟をするのも一つの方法です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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