更新日: 2022.03.15 その他年金
もったいないと言われる「年金繰り上げ受給」。損するポイントを詳しく解説
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の繰上げ受給とは
年金の繰上げ受給とは、原則65歳から受給となる老齢基礎年金(国民年金)や老齢厚生年金(厚生年金)の受給権について前倒しで受給をすることです。繰上げ受給は月単位で、最大60歳まで繰り上げることができます。
繰上げを選択すると、1ヶ月繰り上げるごとに受け取る年金が0.5%減額されます。なお、2022年4月からはこの減額率が0.4%へと緩和されます。
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繰上げ受給で損する可能性のあるポイント
繰上げ受給は早く年金を受け取ることで、短期的には収入を増やすことができますが、次のような理由から損をする可能性があります。損をする可能性について考慮しておかないと後々後悔することにもなりかねません。
一生涯減額された金額を受け取り続けることになる
年金の繰り上げによって減額された影響は一生続きます。例えば、2021年に60歳から年金を受け取って30%減額されたとすると、一生30%減額された年金を受け取り続けることになります。5年、7年と一時的にみればマイナスではありませんが、15年、20年と受け取り続けると前倒ししない場合よりも総受取額が小さくなることもあるのです。
繰り上げにあたっては国民年金だけ、厚生年金だけといったように選択することはできず、両方が一括して繰り上げされることも覚えておいてください。
国民年金に任意加入できなくなる
国民年金の保険料を払っていた月数が480月に満たない方は、60~65歳までの間であれば国民年金に任意加入して保険料を納付し、将来受給する国民年金を増やすことができるのですが、繰上げ受給している方は任意加入の対象から外れてしまいます。将来任意加入しようと考えている方はこの点に注意が必要です。
障害基礎年金を受給できなくなる
年金を繰上げ受給すると、以後病気やけがで一定の障害を負ったとしても障害基礎年金を受給することができなくなります。障害基礎年金は1級に該当すると年額で約97万6000円、2級でも約78万円、また子どもがいればそれに応じた加算額が支給され、国民年金満額と同等以上の金額です。
繰上げ受給をすると、障害を負ったときに本来受け取れるはずだった障害基礎年金よりも少ない年金を受け取り続けるということにもなりかねません。
寡婦年金が受給できなくなる
老齢基礎年金を繰上げ受給すると、その時点で寡婦年金を受給する権利を失います。すでに寡婦年金を受け取っている場合はその権利をも失います。
寡婦年金とは夫の死亡時の前日において一定の要件を満たす妻に対して、60~64歳までの間支給されるものです。寡婦年金が支給されているため、必ずしも年金の繰り上げが必要ないにもかかわらず、繰上げ受給してしまうと年金が減額される分、損をしてしまうかもしれません。
安易な年金の繰上げ受給は損する原因になる
年金の繰上げ受給は短期的には収入を増やせる点が魅力的である一方、長期的にみると年金の総受取額で比較して損をしてしまうことや、病気やけがなど予想外の事故が起きたときに障害基礎年金が受け取れないという恐れもあります。
年金の繰上げ受給を実行する際は他の年金への影響や一生涯減額が続くことを踏まえ、十分に考えてからするようにしてください。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
執筆者:柘植輝
行政書士