更新日: 2022.03.18 その他年金
年代別で見る年金受給額。現在の若者の老後は受給額は減っていくの?
現在における年金保険料の納付と給付の実態と、将来的な給付の見通しについて調べてみると、日本の年金制度の維持には、現役世代の負担によって支えなければならない状況にあることが分かります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
年金受給者間でも、給付される金額に世代間格差
厚生労働省が開催している社会保障審議会の年金に関連する部会では、厚生年金および国民年金の世代別給付金額に関するデータを公表しています。そのなかで2017年6月28日に開催された社会保障審議会の年金数理部会で、厚生年金の年齢層別の給付金額に関するデータが初めて公開されました。そのデータからは、給付金額の最も多かった年齢層が85〜89歳で、約17万円でした。
ちなみに、65〜69歳の約15万円と比較すると、およそ2万円の開きがあることが分かりました。ちなみに60~64歳の受給額が低いのは、国民年金の基礎年金分を含まないケースがあることによります。
ところで、このデータ公表時点で70歳以上の給付金額が高いのは、法律改正を受けて、1985年4月1日時点の年齢により、年金額の計算に使われる給付乗率が異なるためです。
この給付乗率の違いがあるため、2017年4月1日時点で71歳以上の場合は、70歳以下の人より給付金額が高くなっています。このことから、現在、受給している世代間においても、すでに年齢層別で給付金額に差が出ていることが分かります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
年金の給付金額には世代間で格差
保険料を納付している現役世代が、将来、給付対象年齢となったときに支払われる年金額については、5年に一度の頻度で行われる社会保障審議会年金部会で検証されています。
この財政検証結果として公表された資料からみえてくるのは、以前から知られていることでもある、保険料の負担額に対して受給できる年金額との比率が、受給世代に比べて現役世代の方が小さくなる、すなわち納付した保険料に対して見込まれる受給金額との倍率が小さくなるということです。
若干古いデータとなりますが、2004年当時の基礎年金を含めた厚生年金で世代間の給付額と負担の比率について、2005年に70歳を迎える方の厚生年金給付額は5600万円、保険料負担額が680万円なので8.3倍、同じく2005年に30歳を迎える方の厚生年金給付額は、9600万円ですが保険料負担額が3900万円と増えていることから2.4倍でした。
このことは、その後に実施された2015年時点の年齢に基づいた試算からも同じように、受給できる年金額に世代間格差があることが示されました。
現役世代の不安は解消されない
日本の年金の仕組みは賦課方式という、現役世代が年金受給者世代を支える方式です。この方式は現役世代の人数と年金受給世代の人数とのバランスが重要ですが、現在の日本は後者の人数の増加スピードが高いことから、現役世代の負担がどんどん増している状況です。
これは、例えば国民年金保険料をみたときに、昭和45年7月において月額450円だったのが、令和3年4月になると1万6610円となっており、単純におよそ37倍となっていることからも分かります。
一方、給料の上昇は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査からサラリーマン月給の年次推移をみると、昭和45年が5万8400円から令和2年では30万7700円となり、およそ5倍となっています。月収の上昇に比べて、年金保険料の上昇の方が大きいということになり、月収における保険料の負担割合が増している状況であることも分かります。
この先の年金制度を維持するために、平成16年の法律改正に基づいて、保険料の引き上げを一定段階で固定し、その範囲内で給付を行うこととしました。そのため、将来、給付される年金額の見通しが立てづらいため、現役世代が年金制度に対してもつ不安は解消が難しい状況にあるといえます。
まとめ
平成16年の法律改正により、年金保険料の引き上げを一定段階で固定することで、上昇し続けた保険料について一応の手当が付されました。
ところが、年金の仕組みを考えると、保険料収入が増えない状態で、受給者の増加による給付金額が増えているので、そこにメスを入れざるを得ません。年金は本当に将来もらえるのか? と思う現役世代に対して、不公平を感じることがないよい仕組みと制度運営を期待したいところです。
出典
厚生労働省 第74回社会保障審議会年金数理部会 資料 公的年金財政状況報告-平成27年度- 第2章(案)
厚生労働省 年金制度における世代間の給付と負担の関係について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員