年金の中央値はどれくらい?現在の年金受給水準を把握しよう
配信日: 2022.03.19
もっとも、この2つの違いを正しく理解できていないという人は少なくないのではないでしょうか。そこで、以下では平均値と中央値の違いに触れたうえで、具体的に年金の中央値をみていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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平均値と中央値の違い
はじめに、平均というのは、あるデータ群に含まれる数値を全て足したうえで、それをデータ数で割って導かれる数値です。これに対し、中央値というのは、データ群に含まれる数値を小さい順に並べた場合に、そのちょうど中央にくる数値を指します。
例えば、100、110、120、150、500という5つの数値がデータ群に含まれている場合、それらの平均値は全てを足して5で割った196となります。一方、中央値は真ん中にくる120ですので、これをみてもこの2つは必ずしも同じ概念ではないということが分かるでしょう。
平均値は、データ全体を平らにしてみる際には便利な概念なのですが、その一方でデータ群に異常値が含まれている場合には、それに引っ張られて増減してしまうというデメリットがあります。
中央値のほうがそういった異常値の影響を受けにくいため、例えば多くの人がどれくらいの年金をもらっているのかを知りたいような場合には、平均値ではなく中央値を用いたほうがよいのです。
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年金の中央値とは
では次に、年金の中央値がどれくらいであるのかをみていくことにしましょう。年金の種類は非常に多いため、ここでは多くの人が受給する国民年金と厚生年金の2種類について説明します。
なお、以下では紹介する受給額の金額は、いずれも毎月の受給額ですので、年額が知りたい場合には、それぞれの数値に12を乗じるようにしてください。
・国民年金の受給額の中央値
国民年金の受給額の中央値を知りたい場合には、厚生労働省が毎年公表している「厚生年金保険・国民年金事業の概況」が参考になります。
厳密な中央値は公表されていないのですが、令和元年度の結果をみると、月額6万円台を受給している層が全体で一番多くなっていますので、その水準が中央値であると考えてよいでしょう。
一方、平均値は5万円台となっていますので、2つを比較すると、少額しかもらっていない人がそれなりに多いという事実がみえてくるはずです。
・厚生年金の受給額の中央値
厚生年金の受給額の中央値も、同じ厚生労働省の資料をみるとある程度推測することができます。すなわち、令和元年度の結果では月額15万円前後がボリュームゾーンとなっているため、この辺りが中央値であると考えてよいでしょう。
もっとも、男女別にみると少し様相は違ってきます。男性の場合には、15~20万円の間に中央値があるのに対し、女性の場合には10~15万円の間が中央値となっており、男性よりも女性のほうが総じて受給額が少ない傾向がみてとれます。
厚生年金の受給額は、現役時の収入に左右されるため、女性のほうが専業主婦や非正規雇用になる割合が多いという事実が、年金額の多寡に現れているといってよいでしょう。
とはいえ、男女共に、物価の高い都市部においては、年金だけで生計を賄うのは必ずしも容易ではないので、老後の暮らしが心配であれば、若いうちから資産形成に励むようにしたほうがよいでしょう。
年金水準を頭に入れて老後のシミュレーションを行おう
以上でみてきたように、公的年金の受給額の中央値は国民年金と厚生年金とで違っており、男女別でみてもその水準には大きな差があります。
実際の年金額は個人によってかなり異なりますので、まずは定期的に送られてくる、ねんきん定期便等で受給額の見込み金額を確認したうえで、老後の資金繰りをシミュレーションしてみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省年金局 令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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