更新日: 2022.03.20 国民年金

厚生年金と国民年金の差はどれくらい? 受給額と対策法をチェック

厚生年金と国民年金の差はどれくらい? 受給額と対策法をチェック
日本の公的年金には厚生年金と国民年金があり、これらの間には将来もらえる年金額に大きな差が生じています。一般的に国民年金のほうが受給額は少ないため、国民年金加入者が厚生年金加入者と同じくらいの受給額にするためには、なんらかの対策をする必要があるのです。
 
そこで今回は、厚生年金と国民年金の受給額の差について解説し、あわせて国民年金加入者に向けて受給額を増やすための対策を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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厚生年金と国民年金とは?

国民年金は日本の20~60歳までの全ての方が加入する公的年金で、保険料は令和3年度の場合月額1万6610円です。この保険料を毎月60歳になるまで納め続けると、将来満額の老齢基礎年金が受け取れます。令和3年度の受給額は満額で月額6万5075円です。一方厚生年金は、主に会社員が加入する公的年金で、保険料は収入などによって変わります。
 
それに伴い、将来もらえる老齢厚生年金の受給額も変動するのです。基本的に収入が多いほど保険料も受給額も多くなります。厚生年金の保険料は、毎月の給与と賞与に保険料率18.3%を掛けて出すことができます。
 
また、厚生年金の保険料は、会社と折半することになっています。受給額ですが、平成15年3月以前は「平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月以前の加入月数」、平成15年4月以後は「平均標準報酬月額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入月数」という計算式を用いて計算可能です。
 

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厚生年金と国民年金と受給額の差を確認しよう

厚生年金と国民年金の受給額の差を分かりやすくするために、ここでは厚生年金の保険料が国民年金の保険料と同じくらいの場合を例にあげてみましょう。厚生年金の保険料が国民年金の保険料と同じくらいになるのは、報酬月額が17万5000~18万5000円の場合です。
 
ちなみにこの場合の保険料は1万6470円となります。保険料1万6470円を「平均標準報酬月額×5.769/1000×加入月数」という計算式に当てはめて受給額を出します。平均標準報酬月額は18万円で、加入月数はここでは23~60歳まで加入すると仮定して444ヶ月としましょう。
 
計算すると厚生年金の受給額は年額46万1058円となります。月額ならば3万8421円です。厚生年金加入者は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できるため、合計で10万3496円が将来受け取れる年金額となります。
 
一方国民年金加入者が受け取れるのは老齢基礎年金のみなので、月額6万5075円です。同じくらいの保険料でも、厚生年金と国民年金では将来もらえる年金額に3万8421円もの差が生じることが分かります。また、基本的に収入が増えるほど厚生年金の受給額も増えるため、国民年金の受給額との差はさらに広がっていきます。
 

国民年金加入者が年金受給額を増やすための対策とは?

フリーランスや自営業などの方は、厚生年金に加入することができません。国民年金の保険料や受給額は、収入に関わらず皆一律となっています。そのため、どんなに収入が多い国民年金加入者でも、将来受け取れる年金額は令和3年度の場合、月額6万5075円のみです。しかし、受給額を増やすための対策もいくつかあるので、ここで紹介していきます。
 

・付加保険料を納める

国民年金の月額保険料1万6610円に、月額400円の付加保険料を上乗せして納めると老齢基礎年金の受給額を増やせるのです。20~60歳まで付加保険料を上乗せして納めていた場合、受給額は年間9万6000円増えます。
 

・国民年金基金に加入する

国民年金基金はフリーランスや自営業などの方に向けた、国民年金に上乗せするという形の公的な年金制度です。掛金上限月額6万8000円の範囲で、自分に合ったプランを7種類のなかから自由に選ぶことができます。例えば令和4年の時点で30歳の方が保証期間のないタイプのプランに加入した場合、掛け金月額9650円で受給額が年額24万1700円上乗せになります。
 
さらに受給額を増やしたい場合は、加入口数を増やせばよいのです。また、掛け金は増えますが保証期間があるタイプのプランもあり、こちらは家族がいる方に適しています。仮に年金受給前や保証期間中に亡くなったとしても、遺族が一時金を受け取れるというメリットがあるからです。
 

厚生年金と国民年金の受給額の差を把握して対策をしよう

厚生年金と国民年金とでは、同じ保険料を納めていたとしても将来の年金受給額に4万円近い差が生じます。フリーランスや自営業など国民年金加入者は受給額が少なくなるため、将来に備えて対策をしたほうがよいでしょう。
 
今回は付加保険料と国民年金基金を対策として紹介しましたが、ほかにも個人年金やiDeCoに加入するという方法もあります。自分に合った方法で、年金受給額を増やしましょう。
 
出典
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について 令和3年4月分(6月15日(火曜)支払分)からの年金額
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険) 保険料額表 一般・坑内員・船員の被保険者の方(令和3年度版)
日本年金機構 報酬比例部分
日本年金機構 付加保険料の納付のご案内 付加保険料の月額 付加年金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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