更新日: 2022.03.21 その他年金
年金の積立方式とは?賦課(ふか)方式との違いやメリット・デメリット
では、積立方式にはどのようなメリットとデメリットがあるのか、賦課方式とはどういった部分が違うのかを解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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賦課方式と積立方式の違い
古くから日本で採用されている年金の賦課方式は、若い世代が納めた年金をそのまま高齢者に支給される分にあてる仕組みです。そして、年金を納めている若い世代が将来高齢者になって、年金を受け取れるようになったら、より下の若い世代が納める年金から支給されるという形になります。
それに対して積立方式は、貯金に近い形です。自分で収めた額を、高齢者になったら受け取ることができます。年金としてお金を納めはするものの、そのお金は将来の自分のためのものです。
年金機構を運用させるために、納めたお金は投資などに用いられることはありますが、将来的に受け取れる額は保証されます。したがって、賦課方式と積立方式の大きな違いは、納めたお金を現在の高齢者に支給されるか、それとも将来の自分に支給されるかです。
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積立方式のメリットとは
積立方式のメリットとしては、受け取れる額が少なくなりにくい点が挙げられます。賦課方式だと、少子高齢化になった場合、受け取れる年金の額が少なくなる恐れがあります。少数派である若い世代が納める年金を、多数派となった高齢者で分ける形になるからです。
1人が受け取れる額があまりにも少なければ、受給できる年齢が高くなることも考えられます。それに対して、積立方式では、若い世代が納める額は特に影響せず、過去に自分が納めた分を受け取る形です。そのため、少子高齢化になったとしても、安定した額を受け取れる可能性が高いです。
また、自分の年金を自分で賄うという形であるため、年金を納める人が納得しやすいというメリットもあります。賦課方式の場合は、年金を納めるときの状況と、受け取るときの状況が変わっているかもしれません。
そして、納めた分の金額を、受け取れないことになる恐れがあります。そのことに関して不安を抱えている人は、何のために年金を納めるのかという疑問をもちやすいです。しかし、積立方式だと、将来の自分のためという明確な目的があるため、納得して納めることができます。
積立方式にはデメリットもある
積立方式のデメリットとしては、円相場の影響を受けてしまう点が挙げられます。積立方式では、自分が高齢者になった際、若いときに納めていた分と同じ額面を受け取ることができます。
しかし、円の価値が、年金を納めるときと受け取るときで同じとは限りません。もちろん円の価値上昇もあり得ますが、インフレによって、円の価値が下がる可能性も十分あります。
そして、自分が年金を納めていたころの高齢者は20万円の年金で十分に生活できていたけれども、いざ自分が年金を受け取る側になったときには、インフレによる物価上昇で、20万円では満足に生活ができないということになる恐れがあります。
積立方式では、過去の円相場を基準にして納めた額しか受け取ることができません。年金を納めていたときからインフレが進んだとしても、受け取る額が増えることはないです。その円相場への対応力は、賦課方式のほうがあります。
賦課方式はあくまでも、そのときの円相場を基準にして、受給できる額が決まるからです。物価が上がるのであれば、それに応じて若い世代が納める年金の額が上がり、高齢者が受け取れる額も上がります。
つまり、賦課方式と積立方式は、どちらかが完全に優れているわけではなく、どちらにもメリットとデメリットがあるわけです。
日本でも積立方式が採用される可能性はある
日本は少子高齢化が進んでいるため、賦課方式を採用していれば、破綻する可能性があります。実際に、年金受給を開始できる年齢は、段階的に引き上げられています。
そして、賦課方式と積立方式は、必ずどちらかを選択しなければならないわけではなく、併用することも可能です。したがって、将来的に日本でも、積立方式が採用される可能性は十分にあります。
出典
厚生労働省 いっしょに検証!公的年金 日本の公的年金は「賦課ふか方式」~どうして積み立てておけないの?
厚生労働省 いっしょに検証!公的年金 賦課ふか方式と積立方式
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員