更新日: 2022.04.11 年金

老齢年金は請求しないと受け取れない? 65歳前に必要な手続きとは

老齢年金は請求しないと受け取れない? 65歳前に必要な手続きとは
老齢年金は給付される条件さえ満たしていれば、自動的に給付されると思っている人もいるかもしれません。しかし、実際は自分で請求手続きをしなければなりません。
 
請求手続きを忘れたからといって、年金の請求権がすぐに失われることはありませんが、受給が遅れる可能性はあります。
 
そこで、この記事では年金請求手続きを確実に行うための情報や、繰上げ・繰下げ受給についてまで解説します。いざというときに慌てないためにも、ぜひご確認ください。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

老齢年金とは

老齢年金には以下の2種類があります。

●老齢基礎年金
●老齢厚生年金

 
老齢基礎年金は、国民年金に加入し保険料を納めた人が、65歳になったときに受給できます。老齢厚生年金は、厚生年金保険に加入して保険料を納めていた人に支給される年金です。
 
日本の年金制度は老齢基礎年金が土台となっており、老齢厚生年金が上乗せする形で支給されます。
 
それでは、具体的に2つの老齢年金にはどのような違いがあるのかを解説していきます。
 

老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給対象者

老齢基礎年金と老齢厚生年金受給対象者を比較する前に、日本の年金制度では以下の3つの被保険者に分けられることを覚えておきましょう。

●第1号被保険者:0歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など、第2号被保険者、第3号被保険者でない人
●第2号被保険者:厚生年金保険の適用事業所に勤務する人、会社員、公務員など
●第3号被保険者:国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)

老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給対象者は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

比較項目 老齢基礎年金(国民年金) 老齢厚生年金(厚生年金保険)
対象者 原則20歳から60歳の全国民
・第1号被保険者
・第3号被保険者
※第2号被保険者も自動的に加入
・第2号被保険者
納付する保険料 ・一律1万6590円(令和4年度)
・第1号被保険者は加入者が全額負担
・第3号被保険者は配偶者の加入年金が全額負担
※第2号被保険者の保険料は厚生年金保険料に含まれる
・給与、賞与が多いほど保険料も高い(厚生年金保険料率は18.3%)
・事業者が半額負担(労使折半)
年金給付額 加入期間ごとに一律 加入期間と標準報酬月額と標準賞与額で違う

著者作成
 

老齢年金の受給資格

老齢年金の受給資格は、原則として年金の保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上となります。加算できる期間は図表2のとおりです。
 
【図表2】

比較項目 老齢基礎年金 老齢厚生年金
受給資格 ・保険料の免除期間、学生納付特例等の納付猶予期間
・厚生年金保険、共済組合の被保険者だった期間
・第3号被保険者だった期間
・国民年金に任意加入できる方が任意加入していなかった期間
(20歳以上60歳未満の期間に限る)
・ 厚生年金保険(船員保険を含む)の加入期間
・各共済組合の組合員期間
・ 国民年金保険料を納めた期間、および免除・納付猶予された期間
・国民年金の第3号被保険者になった期間
 
※海外在住や年齢によって資格期間が加算されることがある

著者作成
 

老齢年金は請求手続きが必要

 
老齢年金を受け取るためには受給資格を得る必要がありますが、それだけでは老齢年金は給付されません。請求手続きによって、受け取る意思を示す必要があります。手続きそのものは簡単で難しいことは一切ないため安心しましょう。
 
また、年金の受け取りを早めたり、逆に遅らせたりすることも可能です。こちらは、主な手続きの流れと併せて解説します。
 

老齢年金の請求手続きの流れ

年金を受け取るための請求書は、日本年金機構が発送するため、連絡や申請は不要です。
 
発送は受給開始年齢に到達する3ヶ月前ですが、それ以降の流れは以下のとおりです。

1.郵送されてきた年金請求書に必要事項を記入
2.必要書類を準備
3.誕生日の前日以降に年金請求書と必要書類を送付、または年金事務所に持参
4.1~2ヶ月後に「年金証書・年金決定通知書」が届く
5.さらに1~2ヶ月後に「年金振込通知書、年金支払通知書または年金送金通知書」が届き年金の受け取りが開始

 

老齢年金の繰上げ受給

老齢年金の受給開始は原則65歳からですが、60歳以降であれば繰り上げによる受給もできます。もちろん、繰り上げる年数によって老齢年金の金額は減額されます。減額率は満年齢に達するまでの月数で計算します。
 
減額率は満年齢に達するまでの月数で計算し、1ヶ月につき0.4%、最大で24%です。(2022年4月から昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は、0.5%『最大30%』)
 
なお、注意点として、繰上げ受給の手続き後は、取り消しや変更などはできません。一度繰上げ受給をしたら、一生涯減額された年金受給が続くため、よく考えてから決断しましょう。繰り上げを検討している方は事前に年金事務所で相談することをおすすめします。
 

老齢年金の繰下げ受給

年金は繰上げ受給だけではなく繰下げ受給もできるため、年金の受給額が増額されます。
 
もし65歳以降も仕事を続けられる状況であれば、繰下げ受給にしたほうがメリットは大きいでしょう。
 
繰下げ受給も令和4年4月に改正され、繰り下げの上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、年金の受給開始時期が75歳まで選択できるようになりました。また、65歳に達した日の後に受給権を取得した場合も、繰り下げの上限が5年から10年に引き上げられました。
 
令和4年3月31日時点で、次のいずれかに該当する方が対象となります。
 

1.70歳未満の方(昭和27年4月2日以降生まれの方)
2.老齢年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない方(受給権発生日が平成29年4月1日以降の方)

 
繰下げによる加算額の目安は、1ヶ月当たり0.7%、最大84%(75歳まで)で増額され、最大まで繰り下げると1.84倍以上となります。
 
なお、繰下げ受給も手続き後は、取り消しや変更などはできないので注意が必要です。健康状態なども十分考慮したうえで繰下げ期間を決定しましょう。

 

老齢年金受給に必要な請求手続きは簡単にできる

老齢年金の受給資格を得たとき(65歳になる3ヶ月前)は、日本年金機構から年金請求書が送付されます。請求書を送付、または持参をすることで初めて老齢年金の受給ができ、手続き自体はとても簡単です。
 
また、手続きをし忘れたとしても5年以内であれば、さかのぼって受け取ることができます。繰り上げや繰り下げによる受給もできるため、65歳以降でも現役で働いているなど、状況によって臨機応変に対応することも可能です。
 
以上のことを踏まえ、健康状態や資産、生活環境など、ご自身の状況を合わせて考慮し、年金の繰り上げ・繰り下げを上手に利用しましょう。
 
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド
日本年金機構 公的年金の種類と加入する制度
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 年金の請求手続きのご案内
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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