更新日: 2022.04.15 その他年金

そもそも老齢基礎年金の「満額」って月額いくら? 満額もらえないのはどんな人?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

そもそも老齢基礎年金の「満額」って月額いくら? 満額もらえないのはどんな人?
老後の資金として多くの人が頼りにしている「老齢基礎年金」は、加入期間や納付状況により、毎月受け取れる金額が異なることをご存じでしょうか?
この記事では、そんな老齢基礎年金を「満額」受け取れる場合に、1人分で月額いくらになるのかについて、お伝えします。
さらに年金の基本のおさらいから、満額もらえないのはどんな人かまで、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

老齢基礎年金を「満額」もらう場合、ひとり月額いくらになる?

最初に「老齢基礎年金」とは何のことか、という基本をおさらいしてから、令和4年度に改定された「満額」の年金額についてみてみましょう。
 

老齢基礎年金とは?

「老齢基礎年金」とは、公的年金制度の中で、日本に住んでいる人が20歳以上になると加入しなければならない「国民年金」において、受給資格期間が10年以上ある人が受け取れる年金です。
 
企業などに勤める人が加入する、厚生年金で受け取る年金は「老齢厚生年金」といい、「老齢基礎年金」に上乗せして受け取る別の制度の年金ですから、混同しないように注意しましょう。
 
「老齢基礎年金」の受給開始年齢は原則65歳からですが、一定の条件を満たせば、「繰上げ受給」や「繰下げ受給」という制度を選択することもできます。
 
「繰上げ受給」は、60歳から65歳になるまでの間で、受給開始を早められる代わりに、毎月受け取れる年金額が減る制度です。
 
一方、「繰下げ受給」制度を利用すると、66歳から75歳までの間に受給開始を遅らせる代わり、毎月受け取れる年金額が増えます。
 

老齢基礎年金の「満額」は、ひとり分で月額6万4816円

厚生労働省が令和4年1月に発表した「令和4年度の年金額改定についてお知らせします」というプレスリリースによると、原則どおり65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、令和4年4月からの「満額」は、1人分で月額6万4816円となっています。年額にすると、77万7800円です。
 
令和3年度の満額である1人分の月額6万5075円、年額78万900円からすると、0.4%(月額259円)の引き下げとなります。
 
ちなみに、令和3年度は令和2年度から0.1%(月額66円)の引き下げでした。年金額の改定は、国内の物価や賃金の変動、公的年金被保険者の全体数や平均余命などの要素を用いて、原則として年度ごとに行われます。
 

老齢基礎年金を満額もらえない人は? 対策はある?

ここでは、老齢基礎年金を満額もらえない人の条件を確認した上で、もし当てはまっていた場合には、何か対策できることがあるのかについて解説しましょう。
 

老齢基礎年金を満額もらえないのはこんな人

国民年金には、20歳から60歳まで40年間(480月)の加入期間があり、企業に勤めて厚生年金保険を支払っていた場合も加入期間に含まれます。
 
老齢基礎年金を満額もらえないのは、この「年金保険料480月分」の「全額納付」を、未納期間があったり、免除や猶予を受けた期間について追納をしていない人です。
 
例えば、会社を退職して次の転職先で厚生年金に加入するまでの間は、自分で国民年金を支払う必要があります。
 
手続きを忘れた、保険料の支払いを忘れて期限に間に合わなかった、などの理由で1ヶ月でも納付しなかった月がある場合は、未納の月数に応じて減額されるため、満額の老齢基礎年金を受け取ることができません。
 
また、年金保険料の支払いが難しい時期に免除制度を利用すると、保険料の全額または一部の納付免除を受けることができます。
 
この免除を受けた期間の保険料は、「追納」という制度を使えば、原則10年以内なら後払いすることが可能です。
 
追納制度を使わなかった場合、全額納付した以外の月数は、減額分と月数に応じて、受け取れる老齢基礎年金の額も減ることになります。
 
というわけで、老齢基礎年金を満額もらえない人の条件をまとめると、
 

・年金保険料を納付した期間が480月未満である
または
・480月納付したが、免除制度などを受けて減額されたため、全額納付ではなかった

 
という場合です。
 

満額もらえない場合、どうしたらいい?

もしも自分が満額もらえない人の条件に当てはまった場合、満額もらうための方法はないのでしょうか?
 
納付期間が480月未満の場合は、60歳以上になってからも、一定の条件を満たせば「任意加入」という制度で納付期間を増やすことができます。
 
また、国民年金保険料の未納、および免除や猶予を受けた場合は、後払いできる「追納」制度を使って、忘れずに納付するようにしましょう。
 
「任意加入」と「追納」の2つの制度を利用することで、満額もらうための条件である、年金保険料の「480月」「全額納付」を満たせるかもしれません。
 
制度を利用しても、条件が満たせない場合もあるかもしれませんが、満額に近づけるために有効な手段ですから、検討してみることをおすすめします。
 

老齢基礎年金を「満額」もらうために

老齢基礎年金について、満額で支給を受けるためには、保険料を全額納付する必要があります。
 
もし、自分が満額もらえない人に当てはまってしまった場合は、「任意加入」や「追納」の制度を利用することで、満額もらえる条件を満たせるかどうか検討してみるとよいでしょう。条件が満たせない場合でも、もらえる金額を満額に近づけることができるかもしれません。
 
出典
厚生労働省 令和4年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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