更新日: 2022.04.22 その他年金

老齢年金と遺族年金を一緒に受け取れないってほんと?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老齢年金と遺族年金を一緒に受け取れないってほんと?
現在、遺族年金を受給している場合、老齢年金を受け取れる年齢になったら両方とも受給できるのでしょうか? 受給できるのが老齢年金だけになって、もらえる年金が極端に減ったら生活に困ると考える人もいることでしょう。
 
結論からいえば、遺族年金と老齢年金の両方を受給できます。しかし、受給要件が定められているため、まずはそれぞれの年金の仕組みについて理解を深めましょう。
 
当記事では、遺族年金と自分の老齢年金を受給するときのポイントを詳しく解説します。遺族年金をもらっている人は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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65歳まで年金は1つしか受給できない

公的年金には「1人1年金」の原則があるため、複数の年金の受給権利があったとしても、支給事由が異なる年金を1つしか受給できません。
 
公的年金は「遺族年金」「老齢年金」「障害年金」の3つに分けられていますが、そのうち遺族基礎年金と老齢基礎年金の2つの受給権利があれば、どちらか1つを選んで受給して、もう1つは支給停止となります。
 
そのようなことから、複数の年金を受給する権利がある場合、通常は受給金額の多い年金を選ぶようになるでしょう。
 

受給額または税金で選ぶことができる

受給額または節税の面も考慮して、遺族年金と自分の老齢年金のどちらを受給するか選ぶのも大事です。
 
まず、受給権利のある年金が老齢基礎年金のみなのか、老齢厚生年金も一緒に受給できるのかによって受給額が大きく異なります。自営業など厚生年金に加入していない場合は、受給できるのは老齢基礎年金のみとなりますし、会社員は老齢基礎年金に老齢厚生年金を上乗せして受給されます。
 
遺族年金と比べた際に、どちらを受給したほうが受給額は多いのかを確認して選ぶとよいでしょう。
 
また、遺族年金や障害年金は非課税なのに対し、老齢年金は所得税法上「雑所得」として、年金の支払いの際に所得税が源泉徴収されます。対象となるのは、その年中に受ける年金の支給額が「65 歳未満の方は108 万円以上」「65 歳以上の方は158万円以上」の場合です。
 

支給事由が同じ年金ならそれぞれ受給できる

同じ支給事由である2つの年金なら1つの年金とみなされるため、それぞれを受給できます。併給可能な年金の組み合わせは図表1のとおりです。
 
図表1

老齢給付 障害給付 遺族給付
・老齢厚生年金
・老齢基礎年金
・障害厚生年金
・障害基礎年金
・遺族厚生年金
・遺族基礎年金

出典:日本年金機構 年金の併給または選択 より筆者作成
 
公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員の方が加入する厚生年金の2階建て制度による受給となっています。
 
基礎年金に、厚生年金を上乗せされるため、同じ支給事由なら「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と障害厚生年金」「遺族基礎年金と遺族厚生年金」というように、併給が可能となります。
 

65歳以降は老齢年金と遺族年金の同時受給が可能

65歳以後は、遺族年金と自分の老齢年金のどちらも受給できます。ただし、老齢年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があるため、どのパターンで受給するかによって支給内容が異なります。
 
「遺族厚生年金+老齢基礎年金」
遺族厚生年金も65歳以前と同様に受給できます。65歳以降に受給する年金は、遺族厚生年金に老齢基礎年金を加算した金額です。
 
「遺族厚生年金+老齢基礎年金+老齢厚生年金」
遺族厚生年金を受給する人自身が厚生年金に加入していた場合、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に受給できます。遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の額よりも高い場合、老齢厚生年金との差額を受給します。
 
また、ほかにも、「老齢基礎年金 + 遺族厚生年金」「障害基礎年金 + 老齢厚生年金」「障害基礎年金 + 遺族厚生年金」の組み合わせでも併用が可能です。
 

老後の年金は大切! 支給要件をしっかりと確認しておこう

遺族年金を受給していても、公的年金には「1人1年金」の原則があります。65歳までは支給事由が異なる年金を併給できないため、遺族年金か老齢年金のいずれかを選ぶことになります。
 
遺族年金を受給している場合、受け取れる老齢年金の種類によって受給内容が変わります。そこで、老齢年金を受給する前に受給金額を整理しておけば、スムーズに対応できるでしょう。それには、受給金額などの年金に関する具体的な内容を自分で調べてもいいですし、年金事務所や専門家に相談するといった選択肢もあります。
 
このように、選択が必要な時期になる前に受給額や節税のことなどをしっかり考慮して、少しでも多く年金をもらうため、賢い選択ができるようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の併給または選択
国家公務員共済組合連合会 知っておきたい_まとめ
日本年金機構 2つ以上の年金を受け取れる方へ 受け取る年金を選択する手続きの案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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