更新日: 2022.05.12 その他年金

軽い障害が残ったときに申請できる「障害手当金」。「障害年金」とはどう違う?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

軽い障害が残ったときに申請できる「障害手当金」。「障害年金」とはどう違う?
「障害手当金」の制度について「障害年金」と何が違うのか詳しくは知らない人が多いのではないでしょうか。障害手当金とは、障害厚生年金を受給できるほどではない軽い障害が残った場合に、一時金が支給される制度です。
 
ここでは、障害手当金と障害年金の受給要件や支給額の相違点をまとめました。病気やけがによる後遺症で障害年金制度の利用を検討している人は、ぜひこれらの違いをチェックしてください。
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障害手当金とは

障害手当金とは、病気やけがで障害厚生年金1~3級に該当しない程度の軽い障害が残った場合に、一時金として支給されるお金です。厚生年金にのみにある制度のため、国民年金のみの加入者は受給できません。
 
障害手当金を受給するには、次の保険料納付要件のいずれかを満たしている必要があります。

・初診日を含む月の前々月までの公的年金の加入期間について、保険料納付済期間と免除期間が合わせて3分の2以上ある
・初診日時点で65歳未満であり、初診日を含む月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

 

障害手当金と障害年金の受給要件の違い

障害年金には、障害基礎年金とそれに上乗せして支給される障害厚生年金があります。障害基礎年金、障害厚生年金、障害手当金の受給要件は、それぞれ図表1のとおりです。
 
【図表1】

原因となった病気・けがの初診日 保険料納付要件 障害の状態
障害基礎年金 初診日が次のいずれかのあいだにあること

・国民年金加入期間
・20歳未満、日本国内在住の60~65歳未満で年金制度に加入していない期間※老齢基礎年金の繰上げ受給者は除く

次のいずれかに該当すること※20歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合を除く

・初診日を含む月の前々月までの公的年金の加入期間について、保険料納付済期間と免除期間が合わせて3分の2以上ある
・初診日時点で65歳未満であり、初診日を含む月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

障害の状態が、障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日または1年6ヶ月以内の症状が固定した日)、または20歳到達時に、障害等級表の1級または2級に該当している
障害厚生年金 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日があること 次のいずれかに該当すること

・初診日を含む月の前々月までの公的年金の加入期間について、保険料納付済期間と免除期間が合わせて3分の2以上ある
・初診日時点で65歳未満であり、初診日を含む月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

障害の状態が、障害認定日に障害等級表の1~3級に該当している
障害手当金 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日があること※国民年金、厚生年金、共済年金受給者は除く 同上 障害の状態が、次のすべてに該当していること

・初診日から5年以内に症状が固定している
・症状が固定したときに障害等級表の1~3級よりも状態が軽い
・障害等級表に定める障害の状態である

出典:日本年金機構 障害年金ガイド令和4年度版 より筆者作成
 
障害基礎年金・障害厚生年金と障害手当金の受給要件の最も大きな違いは、対象となる障害の程度です。
 
障害基礎年金を受給できるのは、法令により定められた障害等級表で最も障害の程度が重い1級とその下の2級に該当する場合です。障害厚生年金は、さらに下の3級までに該当する場合に支給されます。
 
対する障害手当金は、障害厚生年金の1~3級よりも軽い障害が残った場合に支給されるものです。
 

障害手当金と障害年金の支給額の違い

障害手当金と障害年金は、前者が一時金、後者が年金である点も大きく違います。支給額は、それぞれ次のとおりです。
 
■障害基礎年金
1級の支給額(年額)=97万2250円+子の加算(※)
2級の支給額(年額)=77万7800円+子の加算(※)
 
(※)2人まで:1人につき22万3800円、3人目以降:1人につき7万4600円
 
■障害厚生年金
1級の支給額(年額)=報酬比例部分の年金額(※1)×1.25+ 配偶者の加給年金額(※2)
2級の支給額(年額)=報酬比例部分の年金額+配偶者の加給年金額(※2)
3級の支給額(年額)=報酬比例部分の年金額(最低保障額:58万3400円)
 
(※1)厚生年金期間が300月未満の場合は300月とみなして計算
(※2)対象者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに22万3800円を加算
 
■障害手当金
障害手当金の支給額(一時金)=報酬比例部分の年金額×2(最低保障額:116万6800円)
 

障害年金をもらえなくても障害手当金をもらえる可能性がある

障害年金と障害手当金の大きな違いは、受給要件、一時金と年金である点、そして支給額です。受給要件に違いがあるため、厚生年金に加入している人は、障害の程度が比較的軽く障害年金の支給要件に当てはまらない場合にも、障害手当金を受給できることがあります。
 
病気やけがで軽い障害が残った場合には、障害手当金が受給できないかどうか、社会保険労務士などの専門家に相談するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害年金ガイド令和4年度版
厚生労働省 障害年金のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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