更新日: 2022.05.13 国民年金

寡婦年金を受け取る要件とは? 死亡一時金を受け取れる場合はどうなる?

執筆者 : 大泉稔

寡婦年金を受け取る要件とは? 死亡一時金を受け取れる場合はどうなる?
国民年金の第一号被保険者に対する独自給付には、付加年金・死亡一時金・寡婦年金があります。
 
本稿では寡婦年金を取り上げます。寡婦年金は夫を亡くした妻が受け取ることができる年金ですが、夫婦それぞれに要件があります。

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大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

寡婦年金の受給要件

まず、亡くなった夫の要件です。

●第一号被保険者(任意加入の期間を含む)としての国民年金保険料の納付済み期間が10年以上あること(なお、納付済み期間には免除や学生納付特例期間、それに納付猶予期間が含まれます)
●老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ったことがないこと

続いて、受け取る妻の要件です。

●夫が亡くなった当時、夫に生計を維持されていた妻であること
●繰上げ支給の老齢基礎年金を受け取っていないこと

夫婦の両方の要件として、10年以上継続した婚姻期間(事実婚を含む)があることです。
 

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寡婦年金の受給期間と受給額

寡婦年金を受け取ることができる期間は、60歳から65歳までの間です。また、同時に死亡一時金も受け取ることができる場合には、寡婦年金か死亡一時金かを選ぶことになります。
 
受け取る額は、亡くなった夫の第一号被保険者の期間だけで計算した老齢基礎年金の額の4分の3です。
 

寡婦年金のケーススタディー

<ケース1>

夫と妻は同じ年齢です。国民年金保険第一号被保険者の夫が40歳で亡くなったとします。
 
夫が亡くなったとき、子どもが10歳だとすると、子どもが18歳になった後の最初の3月31日までの間、遺族基礎年金を受け取ります。
 
そして、妻は60歳から65歳になるまでの間、寡婦年金を受け取ります。
 
亡くなった夫が20歳から40歳まで、国民年金保険料をすべて納付していたとして、寡婦年金の受給額は、77万7800円(2022年度)×240÷480×3÷4=29万1675円≒29万1700円となります。
 
なお、遺族基礎年金を受け取っていますので、死亡一時金はありません。
 

<ケース2>

夫婦とも50歳で、婚姻期間は25年、子どもはすでに20歳を超えています。夫は会社を10年務めた後、個人事業主として起業、つまり30歳から50歳までの20年間、国民年金の第一号被保険者だったとします。
 
そして、夫は50歳のときに亡くなりました。子どもの年齢からしても遺族基礎年金は対象外ですが、妻が60歳になれば寡婦年金を受給できます。
 
亡くなった夫が30歳から50歳まで、国民年金保険料をすべて納付していたとして、寡婦年金の受給額は、ケース1と同じく29万1700円となります。
 
なお、死亡一時金の額は17万円ですから、寡婦年金を選んだほうが有利です。
 

<ケース3>

夫婦とも64歳6ヶ月で、婚姻期間は35年、子どもはすでに30歳を超えています。夫は会社を10年務めた後、個人事業主として起業、つまり30歳から60歳までの30年間、国民年金の第一号被保険者だったとします。
 
そして、夫が64歳6ヶ月のときに亡くなった場合、子どもの年齢からしても遺族基礎年金は対象外ですが、寡婦年金を受給できます。
 
亡くなった夫が30歳から60歳まで、国民年金保険料をすべて納付していたとして、寡婦年金の受給額は、77万7800円(2022年度)×360÷480×3÷4=43万7512.5円≒43万7500円ですが、夫が亡くなったとき、寡婦年金を受け取る妻は64歳6ヶ月ですから、実際に受給できる金額は、43万7500÷6/12=21万8750円です。
 
死亡一時金の額は27万円ですから、寡婦年金よりも死亡一時金を選んだほうが有利な選択となります。
 

出典

日本年金機構 第一号被保険者の独自給付について
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 遺族年金ガイド(令和4年度版)より死亡一時金(P11)
日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役