年金の繰下げ受給は得することばかりではない? 繰り下げしない方がよいのはどんな人?
配信日: 2022.05.15
ただし、必ずしも得をするとは限らないので気を付けましょう。そこで今回は、どのような人が年金の繰下げ受給に適さないのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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健康面に不安を抱えている人
年金の受給開始を遅くするほど、増額される割合はアップします。例えば、66歳0ヶ月なら8.4%ですが、同じ66歳でも11ヶ月なら16.1%です。そして、75歳まで先送りにした場合、最大で84.0%にまで上がります。
そう聞くと、できるだけ受給を遅らせた方がよいと思う人もいるでしょう。しかし、先送りにした結果、開始前に亡くなると、年金をまったく受け取れなくなります。
また、受給をスタートした後の生存期間が短ければ、普通に受け取るより損をするケースも多いのです。そのため、健康面に不安を抱えているなら、やみくもに繰下げ受給を選択するのはよくありません。
むしろ早めに受給することで、健康面の改善を目指し、治療やリハビリなどの資金として活用することも検討できます。
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加給年金を受け取る資格がある人
厚生年金の被保険者である期間が20年以上あれば、加給年金を受給できる可能性があります。自分が65歳に到達した時点で、65歳未満の配偶者や子どもの生計を維持していることが条件です。
家族手当のような位置づけの年金であり、まだ子育てが終わっていない世帯などで重宝されています。ただし、この加給年金は、繰下げ受給をしても増額の対象にはなりません。
また、厚生年金を受け取り始めるまで、加給年金の受給もスタートしない点を理解しておく必要があります。なお、配偶者が65歳になる時期以降まで受給を送らせると、加給年金を受け取る資格がなくなります。
以上のような規則があるため、加給年金のメリットを生かしたいなら、繰下げ受給を選択するのは得策ではありません。
在職老齢年金の支給停止に該当する人
老後の資金調達などを目的として、年金を受け取れる年齢になっても働き続けるケースが増えてきました。働きながらでも年金の受給は可能で、それは在職老齢年金と呼ばれています。
ただし、受給には条件があり、収入の合計によっては大きく減額されかねません。具体的には、年金と月給などの合計が47万円を超えた場合、支給停止の金額を算出して適用されます。
そのリスクを知って、在職老齢年金を受け取らず、繰下げ受給を選択しようとする人もいます。働きながら減額された状態で受け取るよりも、退職後に増額された状態で受給する方が有利だと考えるからです。
しかし、そのような方針が通用しないように、対策が施されています。たとえ繰下げ受給を選んでも、在職老齢年金を受け取りながら働いていたと想定し、支給停止分を差し引いた金額が算出されます。
そして、その金額だけが、受給開始に伴う増額の計算に使われるというわけです。よって、在職老齢年金の支給停止に該当するほど収入があるなら、繰下げ受給を選ぶメリットが小さくなります。
繰下げ受給のリスクを把握しておこう
年金額がアップすることは繰下げ受給の大きな魅力です。老後の資金不足が心配なら、申し込みを検討してみる価値があります。
しかし、個々の状況によっては、普通に受給した方が得をするかもしれません。どのような人が損をするのか知っておくと、自分が65歳を迎えたときに、最善な選択を行いやすくなります。繰下げ受給を避けた方がよいケースについて、詳しく把握しておきましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部